完全フレキシブルな家電への道とフレキシブル封止技術の役割
2017年7月12日
フレキシブルな家電機器はすでに現実のものとして存在します。約10年前、電子機器用バリアフィルムに関する史上初の市場調査報告の中でIDTEchExは封止技術のイノベーションはビジネスとして成立する消費財を実現するために欠かせない要件のひとつとして挙げていました。
過去の課題は、イノベーションを市場にもたらすために不可欠となっている新たな課題へと移行しつつあります。この課題についてIDTechExの新しいレポート Barrier Layers for Flexible Electronics 2017-2027: Technologies, Markets, Forecasts 取り上げています。このレポートでフレキシブル封止技術市場は2027年までに9億1300万ドル規模になると予測しています。そして議論のポイントは、「フレキシブルディスプレイが登場するはいつなのか」から、「バリア層堆積を自社製造工程に組み込むべきか、それともバリアフィルムサプライヤーを探すべきか」へとシフトしています。
後者に対する回答は、「アプリケーション次第である」と考えます。
バリアフィルム or TEF(thin film encapsulation)
量子ドット(QD) バックライトLCDは、その構成部品にバリアフィルムを採用し、販売を予定している新テクノロジーの好例です。これまでは、例えば、「湿気の侵入からQD強化フィルムを保護するにはどのタイプのバリアフィルムが必要か」という点に懐疑論があり、そのことが初期成長の伸びが予測を下回る結果につながっていました。バリアフィルムのサプライヤーやディスプレイメーカーは、透湿度の要件、価格ポイント、長期的に大きな弊害となりうるカドミウム毒性に対する判断の中でバランスを見出そうとしています。そんな中、Nanosys社と韓国エレクトロニクス大手のSamsungの協業は、Samsungがカドミウムを含まないQDソリューションの方向に舵を切ったことの表れであり、とりもなおさずこの問いに対するSamsungの答えだと考えます。
完全フレキシブルなOLEDディスプレイの実現は、Samsungのみならず、LGや世界各国の同技術の開発企業にとってのもうひとつの重要目標です。そして、フレキシブルディスプレイから始まったものの、結果的に硬直的な最終製品に終わった現行世代の各種デバイスを、完全フレキシブル、折り曲げ自在、折り畳み可能なフォームファクターに移行することがその最終段階です。この場合、ディスプレイメーカーは、接着剤でディスプレイに付着させたバリアフィルムを使用するのではなく、TFE(薄膜封止)技術をディスプレイ製造工程と連動させた統合的アプローチを選択します。
これらの完全フレキシブルな最終製品を実現するためには、当然、アライメント等の課題や完全ポータルブルデバイスの他のコンポーネントの可動性等、さらなる課題にも取り組む必要があります。バリアの観点からすると、厚さを薄くし封止技術を向上することが主要な課題です。原子層堆積が、この課題に対する答えの一端を担うものと考えます。
原子層堆積(ALD)の登場
最新の動向として、技術開発企業やツールサプライヤーのALDに対する関心の高まりが伺えます。その理由は、達成可能で、ほとんど欠陥がなく、厚さも薄い、バリアスタックに堆積される無機層の優れた品質にあります。例えば、今日までバリアフィルム製造の主力製品であったPE-CVDにより作られる厚みのある無機層と比較した場合、より厚みの少ない方が高い柔軟性を可能にします。今日、LG等の企業がそのツールサプライヤーとしてJusung Engineeringと協力し、独自のハイブリッドPE-CVD/ALDツールを市場に展開することで、PE-CVDのスピードと堆積スタック全体のALD層の優れた品質から利益を得ています。

その他更に詳しい開発状況、新しい試み、ビジネスチャンス、今後10年間のフォーキャストなどについては、IDTechExの新しいレポート Barrier Layers for Flexible Electronics 2017-2027: Technologies, Markets, Forecasts をご覧ください。
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