新しい3つのガス分離膜材料

新しい3つのガス分離膜材料
新旧両方のガス分離膜材料の市場機会が、世界的に拡大しています。
 
ポリイミド、ポリスルホン、酢酸セルロースなどの材料から成る高分子膜は、天然ガス処理、バイオガス改良、水素分離などの用途でガス分離膜分野に定着しています。新しいガス分離膜材料を開発しているスタートアップ企業は、性能を向上させ、新たな用途を開拓しようとしています。本記事では、IDTechExの調査レポート「ガス分離膜 2026-2036年:材料、市場、有力企業、予測」で分析している材料分野から3つを取り上げて解説します。
 
新しいガス分離膜材料開発の主なトレンド。出典:IDTechEx
 
パラジウム金属膜
 
現在、水素分離に金属膜を使用する複数のプロジェクトが進行中です。金属膜を用いることで、解離した状態の水素を透過させることができるため、理論上、選択性に制約がなくなり、超高純度水素も得られるようになります。この超高純度水素は、微量の不純物が問題を引き起こしうる燃料電池、半導体製造、分析機器などのデリケートな用途にとって有益となる可能性があります。
 
パラジウムとその合金は、水素透過性が高く、高いガス流量にも対応できることから、ガス分離に最適です。このような膜を開発している有力企業には、H2SITE や Hydrogen Mem-Techなどがあり、対象用途としては、バイオガス・天然ガス由来の水素精製(バイオガス由来のグレー水素、ブルー水素、グリーン水素)、水性ガスシフト(グレー水素やブルー水素の製造に使用)、アンモニア分解(低炭素アンモニアを船舶用燃料や水素キャリア・エネルギーキャリアとして使用)、ヘリウム精製(ヘリウム気流から水素を抽出)などが挙げられます。
 
グローバルな水素経済を実現するには、パラジウムやガス分離膜以外にも多くの材料が必要になります。IDTechExでは、イオン交換膜グリーン水素製造用材料 についても調査しています。
 
ガス分離用の促進輸送膜 (FTM)
 
ガス分離用の促進輸送膜は、Ardent や Aqualung Carbon Captureなどの企業が開発を進めています。促進輸送膜は、標的ガス分子と可逆的に反応するキャリア剤を高分子母材内に配合することで、選択性とガス透過流束を向上させており、これらの反応には水の介在が不可欠であるため、加湿がプロセス設計の中に組み込まれています。
 
FTMの主な対象用途として、二酸化炭素回収 があります。従来のガス分離膜は、分圧差を利用して分離する力を生み出しているため、煙道ガス中のCO2濃度が低いとCO2 回収率も低下します。このようなケースでは、キャリア分子が二酸化炭素だけに反応して膜を通過するのを助けるため、FTMの方が優れた性能を発揮します。
 
これまでのところ、CCUS分野への膜導入は限定的で、代わりにアミン溶媒を用いたソリューションが炭素回収技術の主流となっていますが、新たなガス分離膜材料が手頃な回収コストでN2とCO2 を分離できるのであれば、膜が本領を発揮する機会が訪れます。その中には、スペースに制約のある排出事業者や有害な化学物質を扱うことを避けたい排出事業者も含まれる可能性があります。また、ガス分離膜は、深冷分離法、PSA(圧力スイング吸着)法、溶媒と組み合わせることで分離の経済性を最適化できるハイブリッド型のシステム向けとしても有望視されています。
 
金属有機構造体 (MOF)
 
混合マトリックス膜などの複合膜は、ポリマーの加工しやすさを充填材料の強化された性能と両立することを目指しています。その一例として、高分子膜にはつきものの選択性と透過性のトレードオフ(ロブソン限界として知られる)を超えることを目的とする、MOF の結晶性モレキュラーシーブを高分子膜に組み込むという方法があります。スイスを拠点とする UniSieve は、こうした膜を二酸化炭素回収などの用途向けに開発している企業です。
 
展望-ガス分離膜向け新材料
 
エネルギー安全保障への懸念や脱炭素への取り組みを背景に、新旧ガス分離膜材料の両方に対して、世界的に市場機会が拡大しています。二酸化炭素回収や水素分離は、多くのガス分離膜スタートアップ企業にとって主要なターゲット用途となっています。さらに詳しくは、IDTechExの調査レポート「ガス分離膜 2026-2036年:材料、市場、有力企業、予測」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。 IDTechExのその他レポートは、こちら でご覧いただけます。

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