二相式コールドプレート冷却:2026~2027年にも本格導入開始
2025年11月27日
TDP1500Wを超え、未来のデータセンターは二相式液冷へ移行
熱設計電力のトレンド
2025年現在、ハイエンドGPUの熱管理ソリューションは、単相式D2C(ダイレクト・ツー・チップ)冷却方式が依然として主流を占めています。TDP(熱設計電力)が上昇し続ける中、二相式D2C冷却は必要不可欠な技術になると見込まれており、2026~2027年前後には大規模導入が進むと予測されています。
IDTechExは、チップメーカー、冷却板サプライヤー、システムインテグレーターなど、データセンターのバリューチェーンにおけるステークホルダーに対して幅広くインタビューを実施してきました。時期についてはさまざまな見解があるものの、単相D2C冷却がTDP1500W前後で限界が見え始め、2000W付近で実用上の限界に達するというのが各方面で一致した見解です。
過去のGPUのTDP推移やNVIDIAなど大手チップメーカーが公表しているロードマップを踏まえると、二相式D2C冷却への移行は目前に迫っているとIDTechExは予測しています。詳細な分析と将来予測については、IDTechExのレポート「データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」でご確認ください。

データセンター向けGPUのTDP:実績データと2025年予測。出典:データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会
D2C冷却:課題とトレードオフ
単相式冷却
単相式D2C冷却は、水とグリコールの混合液(PG25など)を冷却水として使用することで、相変化を伴わず対流によって熱を吸収するという比較的シンプルで十分に確立された技術です。ところが、成熟した技術であるにも関わらず、IT機器損傷の原因となる冷却水漏れのリスクや、高流量によって生じる機械的ストレス、データセンター配管の高密度化に伴うメンテナンスの複雑さなど、重大な課題に直面しています。
1000Wのチップ冷却には約1.5L/分の冷却水流量が必要となり、それがエロージョン・コロージョンの一因となります。また、大口径クイックディスコネクトも必要になるためシステム全体のコストも増加します。さらに、冷却板システム(クイックディスコネクト、マニホールド、ホースなどを含む)1台当たりの設置費も200~400ドルと高額です。特に古いデータセンターに導入する場合、長期的に見てエネルギー効率は高くなるものの、先行設備投資(CAPEX)の高さが障壁として立ちはだかります。
二相式冷却
二相式D2C冷却は、冷却水の相変化を利用することで低流量(1000Wのチップの場合は約0.3L/分程度)でも優れた放熱性と効率を発揮できるため、機械的ストレスとポンプ消費電力の大幅な削減が図れます。ただし、環境面と経済面で懸念が生じます。
二相式システムで一般的に使用されているフッ素系冷却液は、エアロゾル化して大気中に放出されると安全性を脅かすリスクがあり、温室効果ガス排出の一因にもなり得ます。また、冷却板の他に冷却液のリサイクルと廃棄に必要なインフラも計算に含めると、二相式装置一式のCAPEXはかなり高額になります。
これらのシステム導入により熱性能向上や長期的なコスト削減が期待できるものの、環境への影響や高額な初期コストがハードルとなり、導入拡大を困難にしています。しかし、綿密な設計最適化によって、こうした課題の一部を緩和することが可能です。IDTechExの調査レポート「データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」では、単相式冷却技術と二相式冷却技術それぞれのCAPEXを数値化し、部品レベルのコストを詳細に算出しています。

データセンター向けD2C冷却の技術的・商業的課題。出典:データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会
展望
単相式D2C冷却の方が、よりシンプルで成熟した技術ではあるものの、メンテナンス作業の負担が大きいことと、性能面での限界を迎えつつあることから、頭打ちの状態となっています。一方、二相式D2C冷却は次世代GPUの効率性とスケーラビリティを向上させますが、環境、技術、コストの各面で障壁が立ちはだかります。
こうした課題はあるものの、特に液浸冷却ソリューションと比較して既存施設への導入が容易であるという理由から、二相式コールドプレートが支持を得ることになるとIDTechExは予測しています。調査レポート「データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」では、単相式・二相式液浸冷却の技術的・商業的障壁について概説するとともに、一次・二次調査に基づいた詳細なロードマップと導入のタイムラインを提供しています。
さらに詳しくはIDTechExの最新調査レポートIDTechExのレポート「データセンターの熱管理 2026-2036年:技術、市場、機会」でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExの最新調査レポートは、こちら でご覧いただけます。
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