リチウムイオン電池リサイクル市場をけん引するものとは?

リチウムイオン電池リサイクル市場をけん引するものとは?
リチウムイオン電池は、電気自動車(EV)と家電製品市場で使われており、今後、定置型エネルギー貯蔵の主要な電池技術になると予想されています。しかし、リチウムイオン電池の持続可能性は、使用済み(EOL)時を含むライフサイクル全体の管理にかかっています。2043年までに約2,380万トンのリチウムイオン電池がリサイクルされ、1,010億米ドルの相当の有価金属になるとIDTechExは予測しています。
 
サプライチェーンリスクの最小化
 
中期的にはリチウム、ニッケル、コバルトの供給面に懸念があるため、リサイクルの市場機会が生まれます。リチウムイオン電池のリサイクルにより、貴重な原材料を入手し、新品電池の製造に利用することができます、原材料供給の確保が可能となり、さらに多様化と現地化が促進されます。また、バージン原料採掘への依存度も下がるようになり、環境面でのメリットも生まれます。米国や欧州をはじめとする主要地域は、クリティカルマテリアルの自国内での調達強化のため、自国のリサイクル能力拡充を目指しています。しかしながら、各地域が主に焦点を当てているのは、メカニカルリサイクル技術によるブラックマスの生産です。ブラックマスは精製を通して金属塩にする必要があり、その金属塩をさらに処理することで新たな正極材の前駆体に変換することができます。現在これら地域の企業(欧州のフォータムなど)の多くは、商業規模の金属塩生産用湿式製錬リサイクルプラントを所有していないため、これらの地域で新品電池の製造に利用できる中間生成物の供給が自国内に十分に行き渡るのは、まだ数年先のことです。
 
政策
 
中国がバッテリーの使用済み管理に関し、最も広範な政策を持っている一方で、EUやインドをはじめとする他の地域はバッテリーのリサイクルを推進する政策を導入してきました。まもなく施行される電池に関するEU規則では、EVバッテリーの回収率だけでなく、全体的なリサイクル効率や、特定材料の回収効率、新品バッテリーにおけるリサイクル材料の最低含有率などに対する目標値も定められています。これらの目標値には、達成年を2025年に設定したものもあれば、2028年以降に目標値を徐々に上げて設定したものもあります。インドの「2022年電池廃棄物管理規則」でも同様の目標が設定されています。拡大生産者責任(EPR)により、メーカー各社はEOLに達したEVバッテリーの回収費用を負担する責任を負うことになるため、リサイクルの回収率目標の達成に役立ちます。米国では、インフレ抑制法(IRA)により「先進的な製品製造に関する税額控除(PTC)」が導入され、EVバッテリーメーカーに対するインセンティブが生まれています。これは、北米内でのリサイクルから調達したクリティカルミネラルが新品のEVバッテリーに金額ベースで一定の割合使用されていれば税額控除を受けられるというものです。この制度がきっかけとなり、今後数年間は米国内で調達したリサイクル材料を新品のEVバッテリーに使用することが増えると見込まれます。
 
潜在価値の獲得
 
現在、大半の民生機器にはコバルト酸リチウム(LCO)電池が使用されています。この電池の本質的価値がEVバッテリーや定置型エネルギー貯蔵で使用されるものよりも高いのは、LCO電池の方がコバルトの含有量が多いからです。そのため、LCO電池のリサイクルは採算性がある可能性が高いですが、EV用や産業用のバッテリーと比較すると、民生用電子機器の場合は回収インフラ構築に多くの課題があります。ニッケル含有率の高い電池(NMC811など)を搭載するEVが増加するにつれ、電池のコバルト含有量は減り、潜在価値が低下するのです。しかしながら、リチウムイオン電池から最大限多くの物質を抽出しようと目論む企業により、プロセスの開発は続いています。
 
リチウムイオン電池のリサイクル市場に関しては、IDTechExの調査レポート『リチウムイオン電池のリサイクル市場 2023-2043年』で、詳しく解説しています。ぜひ、ご活用ください。
 
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