エネルギー貯蔵市場における、リチウムイオン電池以外の注目技術(パート1)

エネルギー貯蔵市場における、リチウムイオン電池以外の注目技術(パート1)

エネルギー貯蔵市場における、リチウムイオン電池以外の注目技術(パート1)
最初に、フローバッテリーの特徴について解説します。この内容は、IDTechEx市場調査レポート「レドックスフロー電池 2020-2030:予測、課題、ビジネスチャンス」からの抜粋です。
 
リチウムイオン電池が定置型エネルギー貯蔵市場の主流になりつつある中で、ますます多くの企業が、近いうちに競争力のある別の技術を開発し、より競争力に優れたエネルギー貯蔵システムを市場に投入しようと取り組んでいます。レドックスフロー電池(RFB)は、現在市場にアプローチしている、リチウムイオン電池の主要競合品の1つです。
 
今後もしばらくはリチウムイオン電池が市場を支配することは明らかですが、有望技術であるレドックスフロー電池はエネルギー貯蔵市場のシェアを獲得できるポテンシャルをすでに示しており、エネルギー貯蔵業界を新たな領域へと推し進めています。
 
リチウムイオン電池は、体積エネルギー密度(Wh/L)と重量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、EV市場向けに最適です。しかしEV市場のコスト削減の影響を受け、リチウムイオン電池は定置型エネルギー貯蔵市場のフロント・オブ・ザ・メーター(FTM)、ビハインド・ザ・メーター(BTM)向け分野でも競争力を持ち始めました。エネルギー貯蔵市場の全領域に対応できるということは、ビハインド・ザ・メーター用途での数kWから、フロント・オブ・ザ・メーター用途でのMW規模の出力まで、出力領域が幅広いことを意味します。
 
こうした特性により、リチウムイオン電池は非常に競争力が高く、その座を脅かすことは難しいものの、別の技術も市場に登場し始めています。
 
 
Figure 1: フロント・オブ・ザ・メーターとビハインド・ザ・メーターの境界を表す電力供給網の略図 出展: IDTechEx
リチウムイオン電池には大きな利点がある一方で、有害物質が使用されているために注意して取り扱わないと発火しやすいという特徴があります。さらに、これらの装置は一度発火してしまうと消火は非常に困難です。PSAグループは消防署と協力し、発火した場合に電池スタックを浸水させて簡単に消火する専用ソリューションを設計しました。
 
発火リスクに加えて、定置型エネルギー貯蔵用途におけるリチウムイオン電池のサイクル寿命は約10,000サイクルで、他の電池と比較すると短くなります(RFBは20,000サイクル超)。
 
こうしたことから、長いサイクル寿命を持ち、安全性の高い化学物質が使用されているレドックスフロー電池が、エネルギー密度こそ低いものの、定置型の用途に大変適しているのです。
 
レドックスフロー電池の動作原理はリチウムイオン電池と異なり、2種類の液体(電解液)を循環させて電極を通過させることを基にしています。こうして、電解液に含まれる電気活性種が電極表面で反応して電気を発生させます。すなわち電解液の量が多いほど、電池の蓄電量は大きくなります。またRFBの出力は、電極スタックのサイズと化学反応の速度によって決まります。
 
このようにエネルギーと電力容量が分離されることで、蓄電システムのカスタマイズが容易になります。ここにレドックスフロー電池のさらなる強みがあります。
 
 
Figure 2: Exploded representation of a redox flow battery, showing the different constituents. Source: Engineering aspects of the design, construction and performance of modular redox flow batteries for energy storage - L.F. Arenas, C. Ponce de León, F.C. Walsh - Journal of Energy Storage (2017).
さらにRFBは、より長いサイクル寿命を実現します(RFBは25,000サイクル超、リチウムイオンは10,000サイクル未満)。これは、均等化蓄電原価に反映され、リチウムイオン電池と比較してはるかに低くなります。
 
このようにRFBは有望ではあるものの、技術的資本コストの高さが、市場に参入する上で依然として大きな制約となっています。
 
2020年3月、IDTechExは、レドックスフロー電池の開発状況、市場への可能性を含め、詳細な分析を実施しました。その分析および調査結果を、調査レポート「レドックスフロー電池 2020-2030:予測、課題、ビジネスチャンス」にまとめました。RFBは、電力供給網をサポートするエネルギー貯蔵システムに対する関心の高まりに後押しされ、今後10年間で30%の年平均成長率を達成するであろうとの見通しを示しています。
 
 
 
レドックスフロー電池は、フロント・オブ・ザ・メーター、ビハインド・ザ・メーター用の定置型エネルギー貯蔵用途において、リチウムイオン電池と直接競合すると予想されています。
 
実際に、IDTechExが行った分析によると、RFBを製造している企業の相当数が、フロント・オブ・ザ・メーター用途の大規模なシステムを開発しています。その一方で、確かな数の企業が、少数ではありますが、ビハインド・ザ・メーター用途の小規模システムの開発に取り組んでいます。
 
市場に存在する複数の種類の中でも、バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)は、1980年代から開発されてきた長い歴史もあり、現時点で最も多く採用されています。バナジウム系は現在最も研究と導入が進んでいますが、ESS社によって開発された全鉄RFBや、亜鉛臭素フロー電池(ZBB)、有機フロー電池など、その他の種類も市場へのアプローチを図っています。
 
さらに詳しい情報は、IDTechEx調査レポート「レドックスフロー電池 2020-2030:予測、課題、ビジネスチャンス」をご覧ください。
 
 
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