ハイパースペクトルイメージングがマシンビジョン技術に進歩をもたらす

Dr Matthew Dyson
マシンビジョンは物体の分類を始めとする多くの用途でその重要性が増していますが、従来のRGBイメージングだけでは対応しきれない場合もあります。洗練されたアルゴリズムを使用していたとしても、酷似した画像しか取得できないからです。
 
ハイパースペクトルイメージングは光の波長により従来の画像にはないもう1つの次元情報を追加することで、はるかに豊富なデータセットを提供します。ハイパースペクトルカメラは各画素位置に赤、緑、青(RGB)の値を使用して画像を表現するのではなく、ポイント毎に全スペクトルを記録して3次元のデータセットを作成します。この3次元データセットをハイパースペクトルデータキューブと呼ぶこともあります。
 
ハイパースペクトルイメージング市場。 Source: IDTechEx
 
もう1つのスペクトル次元は、教師あり学習のアルゴリズムを助け、視覚的に区別できない対象物を特徴づけられるようにします。これは多くの用途分野で切望されている機能です。ハイパースペクトルイメージングと1000nmを超える波長の光を検出可能なセンサーを組み合わせると、いっそう多くの情報を取得できるようになるので、物体の違いを判別する能力がさらに向上します。

農業分野の測量

植物と土壌の健康状態も、ハイパースペクトルイメージングで調べることができます。さまざまな帯域のスペクトルが取得情報(水、窒素など)を感知するため、窒素や水の不足などの問題を早期に発見・対処することが可能になります。
 
農業分野では、農場の時空間マップの作成にあたり、ハイパースペクトルカメラを無人航空機(UAV、つまりドローン)に取り付けて測量することがよくあります。マシンビジョンアルゴリズムが、ハイパースペクトルデータを窒素、水、クロロフィルのレベル、作物と雑草の密度、推定収量などに変換します。これらの情報とGPS対応の機械を組み合わせることで、農家はその土地に合わせた対策を取れるようになります。

産業分野の検査

インライン検査は、対象物をコンベアベルトに載せてカメラの下を通過させ、ラインスキャン用ハイパースペクトルカメラで記録するもので、広く普及している検査方法です。生産ラインで対象物が移動する速度にカメラの速度を合わせられるため、リアルタイムでの全数検査が可能になります。
 
選別結果などの出力データは、従来のラインスキャン技術と同じような方法で既存のマシンビジョンシステムに取り込むことができます。検査における具体的な用途としては、異物の識別やリサイクルのための選別、岩石の種類の判別、さらには光学干渉パターンによる薄膜厚さの測定などにも及びます。
 
ハイパースペクトルイメージングの産業用途への展開において直面している課題の1つは、膨大な情報量を含むハイパースペクトルデータキューブ(右上の図)を分かりやすい状態に変換するのが簡単にはいかない場合があることです。その場合には、データ分析や機械学習の専門的スキルが必要になります。これに対処しようと、自社が提供するパッケージにマシンビジョンのアルゴリズムを実装し、未加工のハイパースペクトルデータキューブではなく、分類された物体の座標をシステムに出力させるようにするメーカーが増えています。

消費者向け用途

意外に思われるでしょうが、ハイパースペクトルイメージングは、民生分野において皮膚の健康状態を分析するのにも利用できます。具体的に言うと、さまざまな皮膚の特徴(水分、ヘモグロビンなど)が持つ特有の反射スペクトルにより、それらの空間分布をマッピングできるのです。そのため、この技術をスキンケアクリニックや、化粧品売り場のカウンターでも使用することで、一人ひとりに最も適した製品をもっとよく理解できるようになります。いずれは、ハイパースペクトルカメラがスマートフォンに搭載されるようになり、オーダーメイドの化粧品やスキンケア製品を自宅から注文できるようになるかもしれません。

包括的分析

IDTechExの調査レポート「先進イメージセンサー技術 2021-2031年: 用途および市場」では、幅広い先進イメージセンサ技術の現状と将来のアプリケーションについて概説しています。このレポートには、この記事で概説したイベントベースビジョンセンサーだけでなく、シリコンセンサー上のInGaAs、ハイブリッド量子ドットや有機半導体、薄膜光検出器、フレキシブルX線検出器、ハイパースペクトルイメージングなどに取って代わる可能性の高いSWIR(短波赤外)イメージング向けの先進技術も含まれます。また、(技術・用途別の)売上金額・数量の向こう10年間の詳細な市場の予測のほか、複数アプリケーションのケーススタディ、技術成熟度や商用化への対応状況の評価についても掲載しています。
 
さらに詳しくは、IDTechExの市場調査レポート「先進イメージセンサー技術 2021-2031年: 用途および市場」で、ご確認ください。
 
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