抗菌技術 - どのように機能するのか?

Dr Nadia Tsao
銀や銅を含むコーティングやテキスタイルなどの抗菌技術は、ドアの取っ手であれ自分が着けているマスクであれ、触れるものすべてに生きた新型コロナウイルスの粒子が付着しないようにすることで、新型コロナウイルスのパンデミックの渦中にいる人々を助けています。しかし、これらの抗菌技術は具体的にどのように機能するのでしょうか?銀や銅、あるいはポリマーのコーティングは、どのようにしてバクテリアや真菌、COVID-19の場合はウイルスなどの微生物を殺すことができるのでしょうか?この記事では、抗菌剤が作用するメカニズム、すなわち相互作用を探ります。
IDTechExは、抗菌技術および市場に関する調査レポート『抗菌技術市場 2021-2031年』を、発行しました。

細胞壁・細胞膜の破壊

細菌、ウイルス、かびなどの微生物は、細胞壁や細胞膜(またはその両方)に包まれた単細胞生物です。この外側の層を破壊することが、微生物を死滅させる一般的な方法です。すべての生物と同じように、微生物の内部では様々な調節機能が働き、最適な状態を保つようになっています。
 
細菌を破壊する方法の一つは、細胞膜の活動を阻害することです。たとえば銀ベースの抗菌技術は、銀イオンを細胞膜内に侵入させ、細胞内外への輸送を調節する細胞膜内にあるタンパク質と結合させるものです。同様に、高濃度の亜鉛は、それ自体は微生物の成長に不可欠なものですが、細胞膜を通過するイオンチャネルを最終的に阻害することができます。微生物に不可欠な栄養素を取り込めない場合、細胞の成長や増殖は止まります。
 
もっとドラスティックな方法の一つは、単に微生物を壊してしまうことです。さまざまな抗菌技術が、細胞膜を攻撃して破壊する過酸化物や一重項酸素などの活性酸素種を発生させるものとなっています。シラン第四級化合物などのその他の方法は、単に物理的な方法で細胞膜に穴を開けたり、それを破裂させたりするものです。

必須細胞過程への結合やその阻害

抗菌技術は、細胞を内側から破壊することもできます。銀、銅、亜鉛といった金属ベースの技術は、イオンを細胞内に侵入させ、細胞の内部機構の成分(その多くが細胞の生存に不可欠な経路の一部となっている)と結合させるものです。金属イオンは正電荷を帯びており、DNAやRNAといった負電荷を帯びた遺伝物質とも相互作用します。DNAやRNAまで到達させることが肝心です。それらなしでは新しいタンパク質を作り出すことはできませんし、DNAの場合は、DNAを複製できないと細胞分裂が止まります。

物体表面への付着防止

細菌やかびと戦うための戦術の一つは、単に物体表面への付着を防ぐことです。細菌やかびは、バイオフィルムを形成する能力を備えています。このバイオフィルムは、高密度でフィルム状の構造をしており、何百万もの微生物を包んで保護しています。バイオフィルムを形成する上での最初のステップが物体表面への付着です。抗菌関連企業は、付着が起こりにくい環境をもたらす表面を作り出してきました。その結果として微生物は、増殖したり厄介なフィルムを形成したりすることなく、その残り短い余生をおとなしく過ごすことになるのです。

作用メカニズムは重要か?

In short, yes!
 
科学者たちの間には、微生物を内側から死滅させる抗菌剤が薬剤耐性菌の発生に寄与する可能性があるという大きな懸念があります。ほとんどすべての生物には、有害物質の除去を担う排出ポンプと呼ばれるメカニズムが備わっています。低濃度の毒素に多くさらされると、その排出ポンプの効率が向上して新しく生まれ変わり、微生物の進化が促されます。また、排出ポンプにより抗生物質を排出することもできるのです。
 
これまでのところ、科学者たちは辛うじてラボ内で抗菌技術への耐性を引き出しているにすぎませんが、抗菌技術が無責任に使用された場合、このようなことが自然界で起きる可能性が出てきます。世界保健機関(WHO)は、薬物耐性を人類に立ちはだかる世界の公衆衛生上の脅威トップ10のうちの1つと見なしていますが、有効な抗生物質がなければ、今日のごくありふれた病気や医療処置が生死に関わる重大な問題となりえます。
 
抗菌剤メーカーの大部分が銀ベースの技術を開発。 Source: IDTechEx
 
抗菌技術に関する詳しい内容は、IDTechEx調査レポートト『抗菌技術市場 2021-2031年』で、ご確認ください。
IDTechExの調査レポートは、
・アイディーテックエックス株式会社 (IDTechEx日本法人) が販売。
・IDTechExからの直接販売により、お客様へ各種メリットを提供。
・ご希望の方に、サンプルページ 送付。
・オンラインでの試読については、ご相談ください。
・その他、調査レポートに関する、質問、購入に関する問い合わせは、
 下記担当まで。見積書、請求書も発行します。
 
IDTechExの調査レポートを購入すると、30分のアナリストタイムが提供されます。直接アナリストにレポートに関する質問が可能です。詳しくは、下記担当までお問い合わせください。
 
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
 
IDTechExは、調査、コンサルタント、イベントを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。