道路輸送の脱炭素化:燃料電池が担う1600億ドルの役割

道路輸送の脱炭素化:燃料電池が担う1600億ドルの役割

Car, van and a truck parked next to a hydrogen fuelling stand with solar panels and wind turbines in the background
燃料電池を電気自動車のパワートレインに組み込み水素から電気を作り出すことが、バッテリー電気自動車(BEV)の航続距離と充電における潜在的制約を克服しながら、走行時の排気ガスを大きく削減するための技術的な道筋を提供します。 IDTechExの最新調査レポート『燃料電池自動車 2022年-2042年』の分析では、道路を走行する燃料電池自動車の市場規模(金額ベース)は、今後20年にわたり年平均成長率(CAGR)23.9%で成長し、2042年には1600億ドルに達する見込みとなっています。
 
道路走行車両の脱炭素化競争をリードしているのがBEVであることは間違いありません。とはいえ、かなりの航続距離、短いダウンタイムや運用上の高い柔軟性が要求されるユースケース(長距離トラック輸送や低燃費のシティバスの運行など)に必要な負荷サイクルをBEVソリューションが提供できるかどうかについては大きな懸念が残っています。
 
こうした用途では、1回の充電で350kmを超える航続距離を確実に実現するために、500kWh以上の大容量バッテリーが必要となり、350kWの超高速充電器を使用してもフル充電までに数時間かかります。この点がメガワット単位の電力が必要な車両基地では、さらに大きな課題となります。現代自動車の燃料電池大型トラック「XCIENT」は、73kWhのリチウムイオン電池と水素燃料電池システムにより約400kmの最大航続距離を実現しており、燃料の補給には20分もかかりません。
 
ゼロエミッション車への急速な移行を推進する機運が高まっていることに加え、ディーゼルパワートレインに匹敵する航続距離と短時間での給油が求められていることから、トヨタ、現代自動車、GM、 ダイムラーなどの大手自動車メーカーは燃料電池システム技術の改良とコストの削減に何百万ドルも投入し続けています。
 
日本、韓国、中国、ドイツ、カリフォルニアといった主要自動車市場では、燃料電池自動車(FCEV)の大規模な展開が計画されています。ドイツでは100カ所近くの水素ステーション(HRS)がすでに建設されています。4万台の乗用車をサポートすることができますが、現在の保有台数は1,000台にも満たない状況です。ドイツはヨーロッパにおけるFCEVの実証試験環境を提供し、FCEVの普及が進んでいないのは水素インフラ不足のせいであるという主張に異議を唱えようとしています。比較的少ない台数の大型FCEVが水素ステーションを運営するのに見合うだけの十分な水素需要を生みだす可能性があります。
 
乗用車と比べて燃料電池トラック・バス向けの価値提案の方が強力であるため、IDTechExでは燃料電池自動車がバッテリー電気自動車よりも商業的に成功することはないと予想しています。とはいえ、自動車市場の規模の大きさと水素経済の拡大に対する主要地域の政府・企業による相当なバックアップがあることを考慮し、IDTechExでは2042年には道路走行FCEV市場の販売額の60.3%を乗用車市場が占めると予測しています。燃料電池メーカーは規模の大きい自動車市場から得た利益をその技術がより不可欠となる他のセクター向けのコスト削減の原資にできるでしょう。
 
実際、FCEVの展開はFCEVのための十分な水素充填インフラを整備したり、車両価格を抑えるために燃料電池システムの構成部品のコストを削減したりする必要があるなど、難題にぶつかっています。また、低炭素排出ソリューションとしてのFCEVの正当性にとって欠かせないのは、再生可能電力を使用した水の電気分解によって生成される安価な「グリーン」水素が利用できることであり、IDTechExのレポート内の分析でも取り上げていますが環境配慮をうたうFCEVにとって欠かすことできないものになるでしょう。
 
化石燃料から作られる安価なグレー水素は低排出の輸送燃料としてはほとんど意味がありません。グレー水素を使用するFCEVのウェル・トゥ・ホイール(燃料採掘から車両走行まで)の二酸化炭素排出量を見ると、最新のディーゼル車と比較した場合の二酸化炭素の削減量がごくわずかであるためです。
 
IDTechExの推計による各種トラック用パワートレインの排出量(gCO2/km)。 出展: IDTechEx
 
IDTechExの最新調査レポート『燃料電池自動車 2022年-2042年』では、乗用車、小型商用車、トラック、シティバス用の燃料電池車開発の現状を分析しています。ぜひ、ご活用ください。
 
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