欧州委員会、リチウムイオンの持続可能性を高める規制を提案

欧州委員会、リチウムイオンの持続可能性を高める規制を提案

欧州委員会、リチウムイオンの持続可能性を高める規制を提案
欧州委員会 (EC)は、電池の持続可能性に関する規制の強化を提案しています。前回の電池指令が出されたのは2006年まで遡り、鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池の安全なリサイクルと廃棄が主な懸念事項であり、リチウムイオン市場はまだ黎明期にあった時のことです。今回の規制提案は、二酸化炭素排出量および有害物質の使用削減、責任を持って調達する材料の使用を増やすことで、リチウムイオンを含む電池の持続可能性を向上させることを目的としています。
 
今回の指令の発表は、政府、自動車メーカー、アジアの既存バッテリーメーカーや、Northvolt、Freyr、Britishvoltなどの欧州スタートアップ企業が火付け役となって、欧州リチウムイオン電池産業の開発への投資が2~3年間にわたって増加した後に行われています。これらの欧州電池メーカーはゼロからスタートし、電池の研究開発と製造において数十年の経験を持つ既存の巨大企業と競争しなければなりません。CO2排出量が低く、持続可能性と透明性の高い材料を使用したセルと電池を提供することが、アジアの既存企業との差別化を可能にする戦略なのかもしれません。確かにNorthvoltとFreyrは、再生可能エネルギーの使用と持続可能な調達材料に関する戦略を強調しています。これが、持続可能性戦略を最初からデザインインしている、LG化学、CATL、 サムスンなどの企業に対する優位性をもたらすことになるかどうかはまだ分かりません。
 
リチウムイオン電池の生産による影響を最小限に抑える方法として、リサイクルが重視されるようになります。ECは、リチウムイオン電池の回収率に関する要件の強化を提案しており、電池メーカーは、リチウム(4%)、コバルト(12%)、ニッケル(20%)など、リサイクル材料の最低回収率を盛り込むよう求められる可能性があります。電気自動車(EV)用バッテリーの回収率100%が求められるほかに、スマートフォンなどの消費者向け機器は、着脱式バッテリー向けの設計が必要となる可能性があります。消費者向け機器用バッテリーの場合、寿命を迎えたEV用バッテリーの容量から考えれば、その容量はわずかなものであると感じられるでしょうが、実際はそうではありません。消費者向け機器用バッテリーにはコバルトが多く使用されているため、回収が容易であれば貴重な資源となる可能性があります。最近では、リチウムイオンのリサイクルの動きが活発になっており、リチウムイオン市場やEV市場の影響についての議論は一層重要視されています。IDTechExは最近、エネルギー貯蔵分野のイベントであるAABCとThe Battery Showにオンラインで参加・協賛しましたが、その中でもこれを裏付けることができます。わずか1年前に同イベントに現地参加した時と比べて、リチウムイオンとEVの持続可能性に関する講演が著しく増加していました。
 
最後にECは、より性能の高いバッテリーの必要性を強調しています。実際、バッテリーの性能の影響を過小評価すべきではありません。エネルギー密度の向上とバッテリーの長寿命化は、バッテリーの生産と使用による影響全体を最小限に抑える上で重要な手段となります。しかしながら、違法採掘が問題視されているコバルトなどの有害物質の使用やエネルギー消費を減らすのと同時にバッテリーの性能を向上させるのは、ささいなことではありません。例えば現在、高エネルギーのNMC正極やNCA正極のコバルト含有量は減少の一途をたどっていますが、これによりサイクル寿命が短くなるとすれば、環境面ではどのような代償が生じるのでしょうか。バッテリーの材料や設計にはさまざまなイノベーションが次々に起きているため、こうした問いが、リチウムイオン電池のライフサイクルがもたらす影響に関する議論の一画を成す必要があります。
 
明らかなのは、この業界が環境面の利点を最大化し、リチウムイオン電池による影響を使用場所に関係なく最小限に抑えることを目指す必要があるということです。かなりの成長を見込んでいるある業界予測では、その初期段階にこの機会があり、こうした動きが現在始まりつつあるという兆候もあります。
 
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