電解槽とグリーン水素市場が成長へ

Dr Alex Holland
IDTechExは、水電解槽市場が2033年までに1,200億米ドル超に成長すると予測しています。クリーンでグリーンな水素産業の発展に対する関心が再び高まっています。「リパワーEU」戦略に基づくEUの計画やインフレ抑制法に基づく米国の計画は、クリーンな水素の製造と消費を今後10年間で大幅に増やすことを目指したものです。これは、日本や韓国等の意欲的な水素戦略に追加されるものです。グリーン水素・ブルー水素の製造システムと貯蔵・流通インフラの開発、それに水素利用の奨励に相当額の公的資金が投入されることが見込まれます。
 
地域のクリーン水素政策とターゲット選定。 Source IDTechEx
 
地域ごとの目標は非常に意欲的かつ楽観的ではあるものの、電気分解装置とグリーン水素市場の急成長に拍車をかけることになりそうです。多くの企業が、自社の製造能力をGWスケールを上回るまで拡大しようとしています。IDTechExでは、銘板付き電気分解装置の製造が2025年までに2022年の5倍まで成長すると見ています。特に欧州企業は、自社の電気分解装置製造能力を拡大・増強する計画に積極的に取り組んでいます。とはいえ、電気分解装置の製造には中国や米国の企業からもかなりの投資が見込まれており、インドやオーストラリアの企業も市場参入を目指しています。
 
主にアルカリ水電解装置(AEL)、PEM型水電解装置(PEMEL)、固体酸化物型電解装置(SOEL)の3種類の電気分解装置技術において成長が見込まれています。アルカリ水電解装置は最も広く商用化されているタイプで、中国と欧州には、Auyun、LONGi Hydrogen、John Cockerill、ティッセンクルップなどの大手メーカーがあります。比較的高コストなPEM型水電解装置はまだ商用化の初期の段階にあり、出力密度が高く、ダイナミックレンジが広いなど、アルカリシステムと比較して好ましい性能特性を備えていることから、資本コストの低下伴い、市場シェアを獲得すると見込まれています。PEMのスタックやシステムを手掛けるメーカーは、中国、米国、欧州の各地に広がっています。主な電気分解装置の最後のタイプは固体酸化物型電解装置です。高温で動作するため総合効率は高いものの、現時点では相対的に高コストで寿命も短く、商用化の最も初期の段階にあります。デンマーク企業のトプソーは、アルカリ製品とともにSOELを導入しようとしており、500MW規模のSOEL製造拠点の2024年の稼働を目指しています。米国のブルーム・エナジーは、その固体酸化物型燃料電池の生産能力を活用し、電気分解装置市場参入を加速することを目指しており、2022年には米国の新しい大規模SOEL製造施設の完成を発表しました。この2社はSOELの商用化を推進しているものの、SOELの開発に積極的な企業は、アルカリやPEMELのシステムと比べて少数です。
 
電気分解装置のタイプ(アルカリ、PEMEL、SOEL)のそれぞれに一長一短があり、環境に優しいクリーン水素の製造に向けた国や地域の意欲的な目標達成には、主要電気分解装置3種のすべてにわたる電気分解装置市場の成長が必要になります。
 
電気分解装置の技術、市場、プライヤーに関しては、
IDTechExの最新調査レポート『グリーン水素製造: 電気分解装置市場 2023-2033年』でご確認ください。
このレポートでは、次の情報を提供しています。
  • Executive summary and conclusions
  • Electrolyser technology
Alkaline
PEM
Solid-oxide
Cost analysis
  • Market analysi-Key players
Production capacities
Regional targets
Regulation and policy impact
  • Electrolyser and green hydrogen market size, market outlook, market forecast
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『グリーン水素の新たな夜明け? グリーン水素と電解槽市場紹介』
 
IDTechExのプリンシパルアナリスト Dr Alex Hollandが、3月9日(木)に無料ウェビナー『グリーン水素の新たな夜明け? グリーン水素と電解槽市場紹介』を開催します。
 
これまでグリーン水素や水素経済に向けられていた関心は、一部で懸念されていたとおり、急成長や革新的転換が起きることなく薄れてきています。その要因となっているのが、グリーン水素製造時のコスト効率の悪さや、必要な輸送・流通インフラ開発の難しさに加えて、最終用途分野において水素の代替品が存在することです。とはいえ、グリーン水素は、排出削減が困難な多くの産業にとって脱炭素化の手段となります。ここ1年の間に、EUと米国が意欲的な政策を発表する一方、他の地域では目的や目標、戦略を掲げており、それに伴いクリーンなグリーン水素に新たな関心が寄せられています。脱炭素化やエネルギー安全保障、そして成長著しい市場のパイを獲得したいという意欲が、こうした政策を後押ししています。ところが、現在の水素製造は天然ガスの改質や石炭のガス化への依存が大きく、全般的にコストは安価ですが、CO2の排出は避けられません。グリーン水素を製造するには、再生可能電力や低炭素電力を動力として電解槽を稼働させて水を水素と酸素に分解します。電解槽が低炭素のグリーン水素市場の発展を支えるキーテクノロジーであることから、電解槽システムの入手性やコスト、性能は、コスト効率の高いグリーン水素製造を実現するうえで非常に重要な要素となるでしょう。
 
当日カバーする内容(予定)
  • グリーン水素の成長要因解説
  • 電解槽技術、イノベーション、トレンド紹介
  • 課題
  • 電解槽市場紹介
 
事前登録して、ぜひご参加ください。
 
グリーン水素市場をさらに詳しく理解するために、IDTechExの調査レポート『グリーン水素製造: 電気分解装置市場 2023-2033年』をご活用ください。
 
問合せ先
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東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子  m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
 
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