EMIシールド用先進材料の展望はいかに

回路設計では、繊細な電子部品が電磁干渉(EMI)の悪影響を回避することが極めて重要です。部品の小型化と稠密化が優先事項となるスマートフォンやスマートウォッチなどでは、金属製筐体による従来の基板レベルシールドからコンフォーマルパッケージレベルのシールドへの移行が進んでいます。このアプローチは半導体パッケージに直接塗布する導電性コーティングを用いており、スプレー塗布や印刷といった先進の成膜法とともに、機能性材料に新たな可能性を生み出しています。
 
コンフォーマルなパッケージレベルのEMIシールドで用いる材料を選定する際には、さまざまな要素を考慮する必要があります。最も重要なのは、導電率と透磁率に応じて変化する電磁の入射波を減衰することです。これは多くの場合、シールド効果(SE)としてパラメータ化されるもので、その値が高いほど、コーティングを薄くすることが可能になり、軽量化と材料消費量の削減を図れます。材料に関するその他の考慮事項としては、パッケージ下部のエポキシ樹脂成形材料への接着性、熱伝導率、密度、化学的安定性、液相成膜法との適合性などがあります。
 
Concept to commercialization for EMI shielding. Source: IDTechEx
 
金属スパッタリング
 
金属スパッタリングは、高純度の固体金属片を荷電イオンビームで溶融して成膜するもので、コンフォーマルシールドの現行技術として幅広く普及している方法です。多くのコンフォーマルシールドで用いられている多層金属膜は、スパッタリングターゲットを切り替えることで容易に実現できます。バリア層と接着層には一般的に、チタンやクロム、ステンレス鋼などの材料が使用されており、シールドの主な層には、銅やアルミニウム、ニッケルなど、より安価な金属が使用されるのが一般的です。
 
スパッタリングは十分に確立された技術ですが、イノベーションの余地がまだあります。例えば、光学反射防止コーティングから着想を得た、多層スタックからの相殺的干渉を利用してシールド効果を高めるという手法が提唱されていますが、固定された材料間隔を考慮すると、このような改良は周波数に大きく左右されます。
 
導電性インク
 
導電性材料の液相成膜法はスパッタリングに代わるソリューションです。真空中ではなく大気圧下で成膜するため、設備投資を大きく抑えられます。スプレー塗布やインクジェット印刷など、さまざまな液相プロセスがEMIシールド向けに開発されていますが、いずれも導電性インクを必要とします。金属価格の高騰にもかかわらず、その高い導電性と化学的安定性から、銀インクが現在の主流となっています。
 
基本となる金属は同じですが、導電性インクのサプライヤーには差別化の余地が大きく残されています。重要なのは粒子形状と粒子径です。フレークインクと比較すると、ナノ粒子の方が一般的に導電性が高くなりますが、必要な硬化温度も上がります。分子インクとしても知られる無粒子インクは、新しい有力な選択肢です。このインクは金属粒子の懸濁液ではなく、インサイチュ(in situ)還元が可能な有機金属活性種の溶液であり、滑らかな金属層を作り出します。無粒子の導電性インクの主な強みは、ノズルの目詰まりが減少することです。これは、選択的成膜を可能にするエアロゾルやインクジェットなどのデジタル印刷法にとって重要な要素です。もう1つ、高い周波数でのシールド効率を向上できる、非常に滑らかなコーティングを形成するという利点もあります。
IDTechExは 導電性インクに関する調査レポートを発行しています。
 
MXene(マキシン)
 
理想的なEMIシールド材料の条件は、高導電率、低密度、熱膨張に耐える高い柔軟性、接着界面ケミストリーの可制御性、液相処理への適用性などが考えられます。先進材料であるMXeneは、多層の遷移金属の炭化物・窒化物・炭窒化物から成る2次元無機材料に属し、この条件に当てはまります。そのためMXeneは、EMIシールドを含めたあらゆるエレクトロニクス用途のための学術研究や市場調査の対象となっており、生産規模拡大に向けた取り組みがすでに行われています。
 
包括的調査
 
IDTechExの調査レポート『エレクトロニクス向けEMIシールド 2024-2034年』は、「エレクトロニクス向けEMIシールド」市場の詳細な概要を提供しており、材料区分の概説とともに、ナノカーボンを含有する複合材料、メタマテリアル、熱伝導材料とEMIシールド材料の複合材料について、より詳細な評価を行っています。異種材料集積や先端半導体パッケージングの導入拡大を後押しするイノベーションだけでなく、主要プレイヤーの活動についても評価を行っています。家庭用電子機器の分析を基にコンフォーマルシールドを必要とする半導体パッケージ分野の評価を行い、今後10年間の成膜法と導電性インク消費量について、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、スマートウォッチ、AR・VR機器、車、通信インフラなどの用途カテゴリー別に予測を立てています。
 
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