グラフェンメーカーの間で見られる合併の兆候

グラフェンメーカーの間で見られる合併の兆候
この10年間、グラフェン市場には新しい材料サプライヤーが続々と参入するなど、関連企業の数は増え続けています。成熟した業界で見られるように、市場の安定性と収益性は材料サプライチェーン内に一握りの支配的企業が登場することで得られると考えられます。
 
IDTechExは、10年以上に渡りナノカーボン業界を調査してきました。グラフェンレポートの最新版『グラフェン市場&2D材料分析 2023-2033年』では、グラフェンの最終用途別10年間の数量と価格予測、プレーヤープロファイル、ベンチマーキングスタディなどを提供しています。この記事では、避けられない市場統合の最初のヒントとなる最近のニュースを見ていくことにします。
 
2022年8月29日、NanoXploreがXG Sciencesの優先担保付債権者と事業譲渡契約を締結し、XG Sciencesの事業の「大部分」を買収することが発表されました。売却契約の一環として、NanoXploreは、XGの機械的粉砕施設と研究開発ラボだけでなく、知的財産(取得済みと出願中のすべての特許・商標を含む)も取得することになります。買収は現金で行われる予定です。この発表の前には、XG Sciencesが2022年7月に事業を停止したと報じられていました。
 
「XGは当社の長年の競合相手で、優れた企業です。同社の資産を統合することでNanoXploreのさらなる成長を促すことができると思います。この買収により、当社はバッテリー材料分野への参入を加速することができ、グラフェンおよびグラフェン強化型バッテリーの材料に関連する当社の知的財産が大幅に増加します」と、NanoXploreの社長兼CEOスルシュ・ナザルプールは述べています。
 
2006年に設立されたXG Sciencesは、グラフェン業界に最も早く参入し、最も代表的な企業の1社でした。同社は、幅広い製品を作り出すさまざまな剥離技術を開発し、ISOの規定を上回る厚さのグラフェンナノプレートレット(GNP)を生産することに成功しました。XG Sciencesは一定の地位を確立済みであり、キャロウェイ(ゴルフボール)、グレイススティック(ホッケースティック)、ナイアガラ・ボトリング(ペットボトル)をはじめ、最も注目すべきところではフォードとの商業的な取り組みをいくつか発表しています。過去には、シノケムプラスチックスやYuyao PGSとのMOU締結なども発表されています。このニュースが示すのは合併のことだけではなく、グラフェンメーカーが直面している課題も示しているのです。実際、その多くは収益を生み出したことがなく、キャッシュフローを公的資金や民間からの資金調達に依存しています。非グラフェン関連の子会社を設立したり、周辺事業に参入したり、大手企業の傘下に入ることも、財務的な下支えや、戦略的な位置付けの確保に役立つ可能性はありますが、今回のニュースは業界全体に対して警笛を鳴らすことになるかもしれません。IDTechExの調査レポートでは、グラフェンメーカーへの取材に基づいた、包括的な分析を提示しています。
 
グラフェンには多種多様な用途があり、調査レポートではそれらを詳細に考察するとともに、材料サプライヤーも数多く取り上げています。「グラフェン」という言葉で一括りにされてはいるものの、物理的にも経済的にも特性の異なる幅広い種類の材料が製造されており、メーカー各社は、さまざまなユースケースで自社材料の付加価値を実証しようとしています。今回の買収により、NanoXploreは生産能力の向上のみならず、知的財産ポートフォリオも強化できたことから、市場参入ルートの選択肢が増えました。特に興味深いのは、前述のとおりNanoXploreはバッテリー技術に注力していますが、それはマーティンレアとの合弁事業「VolaXplore」を立ち上げるなどして、NanoXploreがすでに注力していた分野であることです。
 
IDTechExでは、その他の先端材料であるナノカーボン、すなわちカーボンブラックとカーボンナノチューブとの比較も行っています。カーボンブラックには長い歴史を持つサプライチェーンがありますが、有力企業は、キャボットコーポレーションやビルラ・カーボンなど、ほんの一握りしかありません。サプライヤーの数の統合により、材料費と利益率の両方が低下したことも知られています。
 
グラフェン業界の企業や専門家の間では、この材料のキラーアプリケーションを特定することが最大の関心事となっています。熱管理材料などの分野に浸透し始めているものの、ターゲットにしている他の市場と比べると小規模に留まります。多層カーボンナノチューブも似たような状況に見えますが、こちらは、電池の正極用導電性添加剤というキラーアプリケーションが見つかったようです。第4のCNT製造工場を建設する計画を最近発表したLG化学など、化学製品や材料の分野の有力企業数社が、施設建造やM&Aを行うなど、市場に参入しています。
 
IDTechExでは、グラフェン業界内の材料サプライヤーについても同様の動向を予想しています。主要有力企業の合併によって、均質性と信頼性の高い製品が低価格で生産されるようになることで、市場への浸透が可能になると見ています。その一方で、画期的なキラーアプリケーションに支えられた材料需要により、大手の多国籍化学製品・材料メーカーが業界に参入する可能性もあります。
 
さらに詳しくは、IDTechEx調査レポート『グラフェン市場&2D材料分析 2023-2033年』で、ご確認ください。
 
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