「サステナビリティ」は先進グラフェン市場の主要な推進力となるか?

「サステナビリティ」は先進グラフェン市場の主要な推進力となるか?

「サステナビリティ」は先進グラフェン市場の主要な推進力となるか?
グラフェンの市場は転換点にあり、長年の研究開発期間を経て、今では多額の注文が入り始めています。長い間、グラフェン市場は「材料プッシュ」型の市場を形成していました。そこでは、グラフェンメーカー各社が、自社の製品の特性と利点を市場に訴求しようと懸命に取り組んでいました。今やこれが、キードライバーが前面に出る「マーケットプル」型へと移行しています。
 
IDTechExは、グラフェンやその他のナノカーボン分野に関する包括的な市場調査を続けており、最新結果を調査レポート『グラフェン市場&2D材料の分析 2021-2031年』としてまとめました。最新のこのレポートでは、今後の展望、メーカー分析、材料ベンチマーキング、価格、アプリケーションなどを取り上げています。グラフェンにとっての転換点を迎えつつありますが、メーカーが非常に多く存在するため、すべての企業が成功するわけではなく、ある程度の 統合は避けられません。
 
最適な高付加価値材料としてのグラフェンには複数のドライバーが浮上しています。機械的寿命を延ばすグラフェンの機能(例えば、耐摩耗ライナーや防食塗料など)と、熱管理要件の向上が、有力な2つの例です。
 
しかし、別のマーケットドライバーも浮上しつつあります。意外に思われるかもしれませんが、今後10年間、大きな影響を与えることになるでしょう。それは、持続可能性です。NanoXploreの社長兼CEOのSoroush Nazarpour博士は次のように述べています。「多くの市場や用途の持続可能性に関して、グラフェンは重要な要素です。例えば、プラスチック加工における閉ループ型(循環型)生産の実行を可能にし、リチウムイオン電池の容量と充電速度を向上させます」
 
IDTechExは、この主要な市場ドライバーとなり得るグラフェンの3つのコアアプリケーション分野を特定しています。
 
2031年のグラフェン材料の最終用途別の収益
バイオベースポリマーとリサイクルポリマー
多くの地域(と、その地域内で営業する企業)は、循環型経済の側面、特に廃棄物の削減に尽力しています。これは多くの場合、企業が使い捨てプラスチックの消費量を減らし、使用するリサイクル材料の量を増やそうと努めていることを意味します。
 
しかし、これには困難が伴います。再生含有物は、一般的に未使用材料よりも機械的特性の面で劣っていますが、これらの制限を克服しようと(「環境に優しくない」)添加剤を加えると、持続可能性の目標を無にしてしまう可能性があります。また、品質の観点からもまだ不十分であるかもしれません。そこでグラフェンの登場です。ポリマー添加剤としてのグラフェンの多機能特性はよく知られています。また、グラファイトに由来するため、持続可能性の向上に関しては、競合する化石燃料由来の添加剤よりも優れています。このようにグラフェンは多様なセクターで使用することができ、少量混合するだけでも――適切な規模が確保でき、コストを管理できれば――グラフェンメーカーに大きな収益をもたらす可能性があります。最も実現が近いのが、グラフェンを利用した非食品包装であり、IDTechExでは中期的に主要な成長分野になると予想しています。
その先には、バイオプラスチックにもチャンスがあります。これらについても、グラフェンの機械的特性と遮断性を利用することで、必要な性能にまで向上させることができます。包装、コーヒーカップ、そしてその他の利用機会を、一部の大手顧客企業から若い新興企業(Torapheneなど)まで、様々な企業が模索しています。
エナジーストレージ
これは21世紀における最も重要な市場の動きの1つですが、輸送手段の完全電動化が進行中で急成長していく可能性があります。気候危機を背景にした法律が原動力となり、マーケットを取り巻く状況は急速に変化しつつあります。「グラフェンバッテリー」は、見出しではよく目にしますが、あまり使用されていません。主にグラフェンは、有用な機械的特性に加えて、高い電気伝導率と熱伝導率を備えた添加剤として使用されています。これは、電極(集電体)のコーティング、またはセルの外側のいずれかに使用することができます。現行世代のリチウムイオン電池については、グラフェンは、主に消費者セクターで急速充電ソリューションを求めている人向けのものであり、適度な普及にとどまるでしょう。こうしたソリューションの主なものは、2020年にXiaomiから発売されたスマートフォン製品や、Real GrapheneやAppearから近々発売される製品に見られます。
 
しかし、もっと大きな可能性が今後の開発案件、つまりシリコン負極とリチウム硫黄電池にあります。グラフェンによって可能となった大きな進展が既に確認されており、ほぼすべてのグラフェンメーカーが高い関心を寄せています。グラフェンは、確かに、検討されている唯一のソリューションではありませんが、グラフェンによって実現するソリューションを企業が見つけることができれば、業界にとって非常に重要なものとなるでしょう。
 
さらに、グラフェンのエネルギー貯蔵用途は電池だけにとどまらず、グラフェンを利用したスーパーキャパシタが注目を集めており、他のエネルギー貯蔵デバイス(例:水素)と組み合わせた重要なソリューションになる可能性があります。この分野では、Skeleton Technologiesにとって非常に重要な1年となりました。同社はシリーズDの資金調達ラウンドで4,130万ユーロを調達し、Wrightbusとの提携を発表しました。そして某自動車メーカーとの10億ユーロの基本合意書に署名しました。
コンクリートとアスファルト
驚くべきことに、おそらく現在、多くのグラフェン企業がコンクリートやアスファルト市場の可能性を探っています。現在の形態では、どちらの製品も気候変動の大きな促進要因となっており、機械的性能が向上すれば恩恵を受けることになるでしょう。初期段階の試験の中にはグラフェンが持続可能性と実用的な成果の両方を促進し、どちらの問題も解決できると示唆しているものもあります。
 
Directa Plusなどの企業による注目すべきプロジェクトが見出しを飾っていますが、IDTechExが数社のグラフェンメーカーに話を聞いたところによれば、主要企業とさらに進んだ話をしているとのことです。これらの市場の潜在的な規模は巨大です。おそらく本記事で取り上げた他の市場よりもはるかに大きなものであり、グラフェンの見通しを完全に変えてしまうことになるでしょう。
 
しかしながらよくあることではありますが、興味が高いことと、実際の発注とにはギャップがあります。建築・建設業界は細かく枝分かれしているため、導入までに時間がかかることで知られています。そのため、コンクリートとアスファルトが注視すべき市場であることは確かですが、まだ少し道のりがあります。
エレクトロニクス
驚くべきことに、エレクトロニクス分野からも「グリーン」なドライバーが出てきています。その良い例の1つが、Advanced Materials Development(AMD)によるものです。同社は、Marks & Spencerとの基本合意書に署名し、グラフェンインクを使用した持続可能なRFIDソリューションを生み出しました。
さらに詳しくは、 『グラフェン市場&2D材料の分析 2021-2031年』をご参照ください。
 
IDTechExはグラフェン業界をはじめ、多くの先進材料や新技術についての分析を提供しています。最新の調査レポート 『グラフェン市場&2D材料の分析 2021-2031年』では、重要な時期の包括的な業界分析を提供しています。
 
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