MWC 2022:未来的用途とネットワークインフラのトレンド

MWC 2022:未来的用途とネットワークインフラのトレンド
3月初めにバルセロナで開催されたMWCには、世界中から6万人以上のモバイル専門家が集まりました。デジタル・アプリケーションからネットワーク・インフラまで業界の主要な開発状況を調査するため、IDTechExアナリスト Dr Yu-Han Chang が本イベントに参加しました。MWC2022バルセロナでの主要なトレンドのいくつかをご紹介します。
 
4D Metaverse display (SK Telecom).

コネクテッドワールド向け用途のキートレンド:

今回の展示会で最も目を引いたものの1つが、韓国のSKテレコムが披露した4Dメタバースディスプレイです。来場者らは巨大なロボットアームに乗って、同社が創りだした仮想世界「メタプラネット」を体験しました。それはこの展示会で見た他社のメタバース実用例とはまったく違うものでした。AR/VRゴーグル用にチップセットを供給しているクアルコムは、没入型体験を提供するエンターテインメントやリモートショッピングといったメタバースの実用例のデモを行いました。HTCはエンターテインメント向けだけでなく、企業向けに5GやVR用の新しいソリューションをいくつか展示していました。HTC VIVEはHolorideと協業し自動車の走行中に同乗者が体験できるVRエンターテインメントを提供することで、長時間の車での移動を楽しい没入型体験へと変えることを提案しています。同社は危険度の高い労働環境を想定した安全教育にVRを活用する方法も実演しました。これらの大企業によるデモンストレーションと並んで、多くのスタートアップ企業もMWC 2022で自社のAR/VRソリューションを紹介しました。
 
Connected robot barman serving drinks for visitors (Telefonica)
 
企業向けにコネクテッドロボット・ドローンを使って実演された実用例も多く見られました。テレフォニカが来場者に飲み物を届けるバーテンダーロボットを紹介したのに対し、IBMは起伏の多い危険な地形の上を進む際にボストン・ダイナミクスのロボット犬が補助する様子を実演しました。スマートホームも多くの企業にとってのもう1つの重要なテーマとなっていました。ファーウェイ、ZTEの両社とも、自社のスマートホーム製品を展示する専用スペースをブース内に設けていました。Androidは屋外ブースを数カ所設置し、未来のコネクテッドホームを紹介しました。

ネットワークインフラの3大トレンド:

Open RAN、クラウド、基地局のエネルギー効率。
この記事では、Open RANに焦点を当てます。
 
Open RANは、おそらく本年のMWCにおいて一番ホットなトピックの1つでした。テレフォニカ、ドイツテレコム、Orange、SKテレコムなどの大手国際通信事業者がMWCでOpen RANの開発物を展示しており、Open RANの見通しに強い自信をのぞかせています。またハードウェアのプロバイダーからソフトウェア、プラットフォームのプロバイダーまで、多くの企業がOpen RAN市場に参入しています。しかしエリクソン、ファーウェイ、ノキアの大手レガシーシステムベンダー3社にとって、 Open RANは優先事項ではないようです。エリクソンが開発した「クラウドRAN」ソリューションは、他社製のデバイスやソフトウェアと組み合わせて機能させることはできません。ファーウェイは初めからOpen RANに何の関心も示していません。ノキアはOpen RANの開発に最も積極的に取り組んでいるように見えるものの、一部のOpen RANサプライヤーの話によるとノキアのRANも相互運用可能なものではないようです。Open RANの勢いとは裏腹にデバイスの相互運用性やRICの開発などの課題が残っています。Open RANの課題についてはこちらの記事で詳しく取り上げています。IDTechExはOpen RANの開発状況を注視しており最新レポートでOpen RANのマーケットダイナミクスに関する詳細な分析を掲載しています。
 
5Gの全体的な市場、プレイヤー、技術、機会、課題に関する詳細な理解については、IDTechExレポート「5G技術、市場および見通し 2022-2032」を参照してください。また、IDTechExでは「5G スモールセル 2021-2031年: 技術、市場、見通し」「5G 向け低誘電損失材料 2021-2031年」「5G の熱管理 2022-2032年」など、5Gの重要技術を詳細に取り上げた市場調査レポートを複数発行しています。
 
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