プリンテッドセンサー:新たな用途が血糖値試験紙の減少分を上回る

プリンテッドセンサー:新たな用途が血糖値試験紙の減少分を上回る

プリンテッドセンサー:新たな用途が血糖値試験紙の減少分を上回る
プリンテッドセンサーをイメージしてくださいと言われると、血糖値を測定するためのテストストリップを想像するかもしれません。やはり、血糖値試験紙はプリンテッドセンサー市場の大部分を占めており、世界中の糖尿病患者により毎年数十億枚が使用されています。しかし、こうしたおなじみの用途の陰には、画像検出からウェアラブル電極まで、非常に複雑かつ細分化された市場が存在し、中には急速な成長を遂げている市場もあります。
 
IDTechExの新しい市場調査レポート、 『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』は、プリンテッド&フレキシブルセンサーの全体をカバーしています。合計すると、プリンテッドセンサーはプリンテッド・エレクトロニクス市場において最大の規模を占めています。IDTechExの予測では、持続血糖測定(CGM)によるプリンテッド血糖値試験紙の置き換えが進むにもかかわらず、この市場は2030年までに45億ドル規模に到達すると見込んでいます。このように、市場の成長は多くの新たな用途と技術が登場することで現実となります。
 
この調査レポートでカバーしている項目:
  • 大面積イメージセンサー
  • QDと有機CMOSのハイブリッドイメージセンサー
  • SWIRイメージング用ハイブリッドセンサー
  • 圧電抵抗センサー
  • 圧電センサー
  • 温度センサー
  • 静電容量式ひずみセンサー
  • 静電容量式タッチセンサー向けITO代替品
  • ガス&湿度センサー
  • バイオセンサー
  • 皮膚パッチおよびe-テキスタイル向け印刷電極
 
このような多様なアプリケーションの中で、いくつかのセンサーは、数層の層だけの非常にシンプルな構造で構成されているものもあれば、非常に複雑なものもあり、複数の層の成膜と高度で革新的な材料を必要とするものもあります。シートからシートへのスクリーン印刷のセンサーもあれば、連続的なロールツーロール印刷を使用しているセンサーもあります。その大多数は低コストでフレキシブルな大面積基板ですが、CMOSデバイスや各種テキスタイル基板の上に載っているものもあります。
 
センサーの各カテゴリーでは、製造方法として印刷技術を活用するという具体的な動機をもって、現行技術を超える明確な価値提案を提供しようと模索しています。さらに、各カテゴリーに広く採用されるようになるには、それぞれ異なる技術的・商業的な課題があります。IDTechExの新しい調査レポート『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』 では、プリンテッドセンサーの各カテゴリーを支える技術、プレーヤー、市場のポジショニング、商業的展望とともに総合的な評価をしています。IDTechExでは、技術と用途を詳しく解説し、10年間のきめ細かな市場予測も併せて提供しています。そこでは、各センサーの基盤技術、市場の概観、商業的展望を簡潔にレビューし、急成長するこのセクターの多様性を詳らかにしています。
 
Printed and flexible sensors comprise a wide range of technologies and applications, including organic and hybrid photodetectors, piezoresistive and piezoelectric pressure sensors, stretchable strain sensors, temperature sensors, printed electrodes for skin patches, biosensors, gas sensors, humidity sensors, and ITO alternatives for capacitive touch sensors. さらに詳しくは、『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』
ハイブリッドイメージセンサー
 
ハイブリッドイメージセンサーは特に有望なカテゴリーです。これらのセンサーは、シリコン読み出し回路上に印刷された有機半導体、または量子ドット(QD)のいずれかの薄膜(数百nmの厚さ)で構成されています。ハイブリッドイメージセンサーには、現行のシリコンCMOS検出器を超える3つの明確な価値提案があります。従来よりもさらに波長の長いNIRイメージングやSWIRイメージングを実現する調節可能なバンドギャップ、空間可変式NDフィルターを可能にする電位依存性感度、そしてローリングシャッターではなくグローバルシャッターを容易にする高速な電荷収集です。
 
重要なのは、ハイブリッドイメージセンサーがCMOSの生産ラインを転用して製造できるということです。必要資本が大幅に減り、より迅速な採用が可能になります。OPD搭載CMOS技術は放送用カメラ向けにまもなく展開される予定です。その一方で、QD搭載CMOS技術はすでに市販されており、材料系の熱・光束の安定性が徐々に進化していくにつれて、より高出力の、屋外における用途へと移行していくでしょう。つまりこの技術は屋内の低光量検査から、自動運転車用SWIRイメージングのような屋外での用途に移行する可能性があります。
 
こうした今までになかったハイブリッドのアプローチは真の市場ニーズを満たすものであり、印刷可能な機能性材料を標準技術や製造方法と組み合わせることで、採用のハードルを下げながら大幅な性能向上を実現できることを示しています。 このエキサイティングで急速に発展している分野における、すべての技術オプションの現状と将来の状況、商業的な採用ロードマップとともにビジネスの展望については、IDTechExの新レポート「『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』を参照ください。
 
大面積イメージセンサー
 
印刷された有機フォトダイオード(OPD)を基にした大面積イメージセンサーは、革新的な技術です。これは従来のCMOSベースの画像検出から完全に変化したことを表し、他の大面積イメージセンサー技術の性能を凌駕しています。この技術には、2つの互いに関連する価値提案があります。大面積のアモルファスシリコン画像検出器とは違ってフレキシブルで、かつ軽量であるという点です。このため、原理的には連続的な製造方法により低コストで高速印刷が可能となっています。
 
しかしながら、現在メーカーは非常に少なく、それらのメーカーは比較的付加価値の高い用途として生体センシングを主なターゲットにしているため、CMOSとの競合を回避することができています。想定される用途の一つは、大面積の画面内イメージセンサーにより、4つの指紋を同時に撮像することが可能になるというものです。これは、指1本の指紋を撮像したり、広い面積の画像検出に複雑な光学システムを必要とする現行技術のいずれとも異なります。
 
大面積画像検出は目覚ましい技術である一方で、メーカーのニーズというよりも技術的発展を主な推進力としているようです。特に指紋認証は現行技術と競合することが確実な中で、現行技術に対する大面積画像検出の性能が、参入障壁を乗り越えて採用されるための十分な技術的進歩を示しているかどうかは疑問です。
 
圧電抵抗センサー
 
印刷式のピエゾ抵抗型力覚センサーは古くからある用途で、今日では着座センサー、楽器、産業機器や一部の医療機器に広く使用されています。こうした市場はある程度コモディティ化が進んでいますが、このセクターでは、差別化が進んで付加価値の高い、新たな用途につながる革新的な技術も生まれています。
 
加えられた力を動作位置として測定できる3Dタッチパネルがその一例で、これにより従来の静電容量方式のタッチパネルよりも複雑なHMIジェスチャーの認識が可能になります。サプライヤーは引き続き、スマートフォン、コンピューターゲーム、自動車の内装をターゲットにしています。他のイノベーションとしては、しっかり押し込まれると近接を検出する静電容量式センサーとピエゾ抵抗型センサーのハイブリッドセンサアレイ、電動工具の安全装置として使うピエゾ抵抗型ハンドル、ロール・ツー・ロール方式の製造技術などがあります。
 
ピエゾ抵抗センサーを差別化するための課題は、多くの用途で3Dタッチや近接検知のような高度な機能は求められていないということです。さらに、収益源は様々な製品サイクルとともに大きく変動する可能性があり、非常に積極的な供給経路の開拓が必要です。他のカテゴリーと比べると技術的に複雑ではないことから、参入と価値獲得への障壁が低いとも言えるかもしれません。このため、一部の企業はバリューチェーンの上流に進出し、完全一体型のソリューションを提供しています。
 
圧電センサー
 
圧電センサーは、抵抗を変化させるのではなく、加えられた力に反応して電圧を生成します。ピエゾ抵抗センサーと同様に力覚検出に使用することができますが、圧電センサーの方が製造コストが高く、組み込みも容易ではありません。そのためメーカーは、圧電センター独自の性能、特に高周波振動に対する感度を活用する用途を主なターゲットにしています。
 
IDTechExの調査レポートでは、ポリマーと無機物含有複合材料という2種類の印刷可能な圧電材料を扱っています。商業的にはポリマーが多く取り上げられていますが、両方ともまだ開発段階にあります。プリンテッド圧電センサーを商用化する上での問題点は、その性能が、低コストのピエゾ抵抗型圧力センサー、高感度・高強度のセラミック圧電センサーという、シンプルで確立された2つの技術の中間にあるということです。そのため、環境発電の技術成熟度レベルが劇的に向上して自己発電式センサーが実現しない限り、圧電検知の用途はかなりニッチです。.
 
これらの材料の独自性能を活かした有利な価値提案ができるのは、フレキシブルな高周波アクチュエータ(内科治療用のウェアラブル超音波発生装置など)用途です。
 
『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』には、10年間の市場予測が含れ、技術やアプリケーションごとに細分化し、プリンテッドセンサーの面積と収益を定量化しています。
 
静電容量式タッチセンサー向けITO代替品
 
ITOの代替品の開発は、限られた柔軟性と伝導性、インジウムの価格やサプライチェーンからの影響というITOの欠点により、長きにわたり推進されてきました。代替品の新たな選択肢には、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、さまざまな形態のメタルメッシュフィルムなどがあります。低いシート抵抗値と高い柔軟性が特徴で、立体成形の用途に適した伸縮性を持つ種類もあります。
 
興味深いことに、印刷式や塗布型の選択肢は他にもあります。銀ナノワイヤとカーボンナノチューブは溶液で塗布することができますが、微細な線を印刷するハイブリッド印刷やダイレクト印刷の技術的進歩により、一部または全体を3um未満の線幅で印刷したメタルメッシュフィルムが実現しました。
 
ITOを置き換えようとする試みが20年近く続いているにもかかわらず、ITOはタッチスクリーン用の透明導電性材料としていまだに現役です。ITOの代替が妨げられた理由としては、安定性やヘイズなどの技術的問題もありますが、商業的な理由もあります。特に、過去のインジウムの価格下落にも後押しされ、市場シェア確保のためにITOのサプライヤーが推進した支配戦略により、市場におけるITOのポジションは強固なものとなりました。
 
それにもかかわらず、ITO代替品はフレキシブルオブジェクトや立体成形オブジェクト、マルチタッチ可能な大面積の静電容量式タッチスクリーンの市場をついに見いだしつつあり、最近では低コストのタッチスクリーンに使用される例もあります。IDTechExのレポートには、技術の種類別の詳細な技術・商業的ベンチマーク、用途のロードマップ、市場予測が盛り込まれています。市場予測は、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、ITOフィルム、多種多様な形態のハイブリッド方式、印刷式メタルメッシュの各種類別に作成されています。メタリックおよび透明導電性インクの技術と市場については、最近更新されたIDTechExレポート『導電性インク市場 2020-2030年:見通し、技術、有力企業』で、幅広く取り上げています。
 
静電容量式ひずみセンサー
 
一部または全体を印刷したさまざまな伸縮性ひずみセンサーが開発され、ここ数年間で商用化されています。基本的な技術の実証は比較的簡単であることが示されましたが、すべてのサプライヤーが低コストでの大量生産に移行できたわけではありません。その主な課題は、フレキシブルなひずみセンサーは概して、既存製品に取って代わるものではないということです。これは、全く新しい市場を開拓する必要があることを意味しています。この課題に取り組み、さらなる価値を獲得するため、多くのサプライヤーが垂直統合型の「ソリューション」を提供しています。
 
長年の開発の末、現在は産業用の変位検出技術、ウェアラブル電子機器、連続患者モニタリングに事業機会が発生しています。
 
温度センサー
 
シリコンナノ粒子やカーボンナノチューブを含む混合インクを使用することで、印刷技術を温度センサーの開発に用いることもできます。温度測定には適切な熱接触が必要なことを考慮すると、コンフォーマル基板をベースにしたセンサーが明確な価値提案を提供していると考えられるかもしれません。
 
ここでの主な課題は、サーミスタや測温抵抗体などの非常に成熟したソリューションが、低コストで軽量性に優れ、既に普及しているという点です。これらはフレキシブルな熱導体を使用して導入できるため、プリンテッド温度センサーの価値提案はやや霞んでしまいます。そのため、プリンテッド温度センサーは皮膚疾患のモニタリングなど、コンフォーマルアレイを使用した空間分解能が必要な用途に最適です。別の用途として電気自動車のバッテリーの温度監視も考えられますが、まだ広く採用されておらず、しかも複数のサーミスタを使えば間違いなく達成できます。
 
ガスセンサー、湿度センサー
 
ガスセンサーと湿度センサーも印刷技術を使って製造することができますが、現在はそのほとんどが有機材料ではなくセラミックで作られています。これらのセラミックの一部は、硬化温度が非常に高い「厚膜」として印刷されるため、フレキシブル基板との互換性がなくなります。新たなアプローチは、機能性カーボンナノチューブや他の有機半導体をベースにしたものです。特性がわずかに異なる複数のセンサーを組み合わせて「電子の鼻」を作ることができます。この複合出力装置は、各検体に対して異なる「フィンガープリント(検体を識別できる特徴)」を出力します。
 
ガスセンサーはすでに多くの産業シーンで使用されており、大気汚染に対する懸念が高まるにつれて採用が増えていく可能性があります。一部のセクターとは異なり、感度と検体による差別化の余地は大きく、市場の細分化につながります。プリンテッドガスセンサーが独自の機能を提供できる、長期的に有望なもう1つの用途が、食品パッケージに直接印刷し、食品の劣化を測定するというものです。ただしそのためには、フレキシブルICなどの実現技術の開発と併せて、連続製造によってセンサーの費用対効果を高めるフレキシブルハイブリッド電子機器の開発が必要になるでしょう。IDTechExの調査レポート、『フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス 2020-2030年:用途、課題、イノベーションおよび見通し』で、詳しく解説しています。
 
バイオセンサー
 
プリンテッドバイオセンサーは、利益と数量においてプリンテッドセンサー分野最大のカテゴリーで、血糖値試験紙が多くを占めています。その年間需要は数十億規模です。しかし、利便性の高い持続血糖測定の採用によって試験紙の利用は徐々に減少しており、今後はその傾向が強まると思われます。同時に、規制当局が試験紙の価格抑制を求め、その過程で利幅が削られ、強い価格圧力が働いてコモディティ化が進みました。にもかかわらず、血糖値試験紙の事業は、依然としてプリンテッドセンサーとフレキシブルセンサーの領域で数量・利益ともに最大となっています。重要なのは、プリンテッドバイオセンサーの用途は血糖値測定だけに限定されないということと、他にも多くのセンサーが登場しつつあるということです。
 
ウェアラブル電極
 
今日、医療用電極のほとんどは電解質のゲルが付いた金属製のスナップボタンで構成されていますが、これらは短期間しか使用できません。連続モニタリング用途で、印刷電極は徐々に皮膚パッチに採用されつつあります。より長持ちするので、導電性のインターコネクト(これも印刷式)とともに製品に組み込むことができ、フレキシブルになっています。ウェアラブル電極はフィットネスシーンにも適しており、手軽に心拍数をモニタリングできるようにe-テキスタイルに組み込まれています。e-テキスタイルの耐久性は依然として消費者にとっての懸念事項となっていますが、連続モニタリング用のソフトウェアが発展し、需要が創出されるにつれて、印刷式のウェアラブル電極の医療用途とフィットネス用途の両方が増加する可能性があります。電子皮膚パッチ、e-テキスタイルについては、『電子皮膚パッチ 2020-2030年』および『E-テキスタイルおよびスマート衣料 2020-2030年:技術、市場および有力企業』で、詳しく解説しています。
 
 
IDTechExの調査レポート、『プリンテッドおよびフレキシブル センサー 2020-2030年: 技術、有力企業、見通し』は、プリテッドセンサーとフレキシブルセンサーの多様な基礎技術とアプリケーションの広範な概要を掲載しています。レポートでは、有機光検出器とハイブリッド光検出器、ピエゾ抵抗型圧力センサーと圧電型圧力センサー、伸縮性ひずみセンサー、温度センサー、皮膚パッチ用プリンテッド電極、バイオセンサー、静電容量式タッチセンサー用途のITO代替品などを取り上げています。IDTechExは50社以上の企業を分析し、技術別の商業利用の可能性と課題をまとめるとともに、すべてのプリンテッドセンサーのタイプ、技術、用途を網羅した詳細な市場予測を作成しています。市場予測では30の技術と用途を取り上げ、売上高とプリンテッド技術分野の情報を提供します。
 
IDTechExは10年以上にわたってプリンテッドエレクトロニクス市場を調査しており、2012年に最初のプリンテッドフレキシブルセンサーレポートを発表しました。それ以来、IDTechExは技術と市場開発に密着し、世界中の主要プレーヤーにインタビューしたり、訪問したりして、世界最大のトレードショーや会議を開催し、多数のコンサルティングプロジェクトを実施し、このトピックに関するマスタークラスやワークショップを開催しています。IDTechExの洞察力の深さと広さは他の追随を許さないものであり、この包括的なレポートの中で広く紹介されています。ぜひ、ご利用ください。
 
 
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