5G半導体材料の戦い:サブ6GHz帯vsミリ波

5G半導体材料の戦い:サブ6GHz帯vsミリ波

image showing a 5G emiter
5Gの導入が本格化し、2021年末までにミッドバンドインフラの設置が進み、2019年の6倍近い規模に達したことになります。しかし、これですべての課題が解決されたわけではありません。5Gインフラの多くは、低周波数帯の4G機器を転用したものです。5Gへの真の移行はサブ6GHz帯とミリ波(20GHz以上)帯に分類されている高い周波数の採用から始まります。その主な課題の1つが熱管理です。より高い周波数帯での5Gへの移行が進むにつれ、アンテナの設計、技術、材料の選択にも変化がもたらされます。それに伴い、半導体技術やそれに関連するダイアタッチ材料、熱伝導材料などいくつかの要素が影響を受けることになります。
 
 
短期的な展開はサブ6GHzがメインだが、長期的にはミリ波が主流に。 Source: IDTechEx調査レポート - 「5G の熱管理 2022-2032年」
サブ6GHz帯を使った5Gは、5Gに関してよく謳われているような驚異的な速度や用途を提供するものではないかもしれませんが、広い範囲に及ぶサービスエリアを実現する上で重要な役割を担います。その役割は基本的には従来の4Gと同程度の低い帯域の場合と同じですが、4GHzを超えると従来のLDMOS(横方向拡散金属酸化物半導体)パワーアンプでは効率面で苦戦し始めます。ここでGaN(窒化ガリウム)のようなワイドバンドギャップ半導体の出番となります。GaNはファーウェイなどの企業が4Gインフラに採用し始めています。GaNが5G分野で市場シェアを伸ばし、GaNと共にダイアタッチ技術へ移行することが期待されています。実際、IDTechExでは5GインフラのためにGaNパワーアンプの年間需要が今後10年間で4倍に伸びると予測しています。AuSn(金錫)は現在のGaNで使用されている一般的なダイアタッチ材料ですが、IDTechExの最新レポート「5G の熱管理 2022-2032年」でも取り上げているように、熱性能が向上したことで焼結ペーストに代替品としての機会を見込んでいます。
 
ミリ波は驚異的なダウンロード速度と超低遅延により、5Gが秘める魅力的な用途を実現可能な高周波技術です。その課題は信号伝搬にあります。周波数が高くなるにつれ信号の減衰も大きくなるため、範囲が狭くなったり、壁や窓、気象条件にさえも簡単に遮られます。アンテナ利得を上げるにはアンテナ素子数を増やす必要がありますが、波長が短いおかげでアンテナユニット自体は小型化し、それに伴いパワーアンプやビームフォーミング用電子部品がより一層密集して実装されるため、熱管理が大きな課題となります。アンテナ素子数が増えたおかげで、各アンプの電力需要を減らせる可能性がありますが、その電子機器の極めてコンパクトな特性により部品の一体化が進み、シリコンを使用した技術への導入が増えそうです。しかしながらミリ波スモールセルは、サービスエリア拡充のために展開数を増やす必要があり、その展開計画のためにアクティブ冷却を利用できない可能性があります。これにビームフォーミング用部品の高密度化が合わさることで、熱伝導材料のようなソリューションに対する要求事項は厳しくなります。
 
5Gに使用される技術で他によく知られているものがMassive MIMO(マッシブ・マイモ)で、この技術により同じ周波数帯域でより多くの端末へのサービス提供が可能になります。Massive MIMOでは、設備ごとのRFチェーンの数の増加、ビームフォーミング機能の向上、さらにはネットワークで使用するアンテナ素子数の増加も図れます。その結果アンテナPCB、パワーアンプ、ビームフォーミング用部品などに使用する材料が増えることになります。Massive MIMOではデータ転送の高速化や高周波数帯の利用により、ベースバンドニットや消費電力に関する要件が厳しくなり、それに伴い熱伝導材料の市場機会も広がることになるのです。
 
5Gの展開が広がるにつれ、熱伝導材料(TIM)の年間需要も増加. Source: IDTechEx - 「5G の熱管理 2022-2032年」
 
5Gの熱管理についてさらに詳しくは、IDTechEx調査レポート「5G の熱管理 2022-2032年」でご確認ください。
 
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