IDTechEx技術ハイライト2020: 先進材料

IDTechEx技術ハイライト2020: 先進材料

IDTechEx技術ハイライト2020: 先進材料
2020年は、近年の中でも最も激動の年の一つとなりました。すべての国、業界が新型コロナウィルスのパンデミックの影響を受けており、その影響は、この先何年も残っていくと思われます。その中においても、材料科学の領域では注目すべき業界の動きとビジネス面の進展が見られました。IDTechExでは、これらの重要な動向のいくつかに注目しました。
 
合併・買収
2020年を通じて、M&Aに大きな動きが見られました。パンデミックの影響により、航空宇宙セクターではウッドワードとヘクセルが4月の合併を中止しました。この合併により、最大級の航空宇宙・防衛企業が誕生するはずでした。
明るいニュースの一つは、2020年4月にキャボットコーポレーションによるShenzen Sanshun Nano New Materials(SUSN)の買収が、約1億1,500万ドルで成立したことです。このニュースは地味ながら最も重要であると、IDTechEx では考えます。SUSNはカーボンナノチューブ(CNT)のメーカーであり、カーボンブラックの最大の製造会社が今の時期にこのような動きをしている事実が、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の今後の影響を示唆しています。これは主にリチウムイオン電池の可能性が高まったことによるものであり、Cnanoの業績や、LG化学の2020年の発表内容(2021年までに多額の投資を行い、CNTの生産能力を年間500トンから1,700トン規模に高めることを発表)にも見て取れます。MWCNT市場は、大量の製造量と注文量によって集約化が進んでいくでしょう。IDTechExでは、3社が市場を支配するようになるのではないかと考えています。
 
最初の本格採用
新材料にとって、最初の重要な注文が大きな意味を持ちます。これには、広範な試験、開発、付加価値の評価に長期間を要する可能性があります。
この1年の間には、いくつかの重要な注文がありましたが、中でもおそらく最も注目すべきは、熱活性化遅延蛍光を利用した有機EL(TADF OLED)材料の出荷を、KyuluxがWisechip Semiconductor Inc. 向けに開始したことです。同様の分野では、OTI LumionicsがLG Technology Venturesから戦略的投資を取り付けました。同社の発表によれば、正極パターニング用材料の量産の準備は整っており、最初の出荷が年末までに開始される予定であったとのことです。 MWCNTに関する主要なニュースを見てきましたが、CNTにはさまざまな種類があり、別種である単層CNT(SWCNT)、2層CNT(DWCNT)にとっても、2020年は本格採用が始まった重要な年となりました。オクサイアルは製造施設を開設し、ヘンケルとChasm Advanced Materialsは、導電性インクに関する戦略的パートナーシップを発表しました。しかし最も注目すべきは、富士通セミコンダクターによる最初のNantero CNT NRAM製品が、2020年末までに登場すると発表されたことです。
IDTechExは、カーボンナノチューブの市場動向をまとめた調査レポート 『カーボンナノチューブ 2021-2031年: 市場、技術、有力企業』を発行しています。
 
高額受注の合意
意向表明書(LOI)は成功を保証するものではありませんが、その企業の動きが伴っている場合には、非常に明るい兆候となります。先進材料に関して2020年で最もエキサイティングなものの一つが、グラフェンを用いたスーパーキャパシタです。Skeleton Technologiesは、シリーズDの資金調達ラウンドで4,130万ユーロを調達し、Wrightbusとのパートナーシップを発表したほか、某自動車メーカーとの間で10億ユーロのLOIを締結するなど、2020年は本格採用に向けてイベントが目白押しでした。
 
資金調達と拡大
財務面では厳しい1年となったものの、資金調達ラウンドが成功裏に終わり、拡大も計画されています。既に触れたもの以外に、Kebotix、 Carbice、Nanotech Energy、Arris Compositesもさまざまな動きを見せています(1社につき、記事が1本を書けるほどです)。NanoXploreも、年間4,000トンの生産能力を実現する大規模なグラフェンパウダー製造設備を部分的に開設しました。 IDTechExは11月に、グラフェンに関する最新調査レポート『グラフェン市場&2D材料の分析 2021-2031年』を、発行しました。
 
調達資金と拡張計画の両面で注目されるのが、3Dプリンティング業界のある企業です。Equispheresは4月に3000万カナダドルを調達しており、IDTechExに対し、2021年に年間50トン規模のプラントを稼働させ、付加製造用のアルミニウム粉末の製造量を2022年までに年間75トンに増やす予定であると述べています。付加製造の分野はまだ黎明期にあり、ハードウェアとソフトウェアの開発だけでなく、材料のラインナップを拡充する必要があります(アルミニウムが重要になるのは明らかです)。
 
人工知能(AI) の影響
エキサイティングな分野の一つがAIです。材料科学の研究開発にデータ中心のアプローチが採用されていますが、AIを導入している企業は既に触れたとおりです。導入に積極なことでは、日本企業が有名です。例えば、旭化成はいくつかの大幅な改良を行っており、2021年に向けてデータサイエンス技術者を大幅増員する計画であると述べています。9月に発表された「AIベース素材開発コンソーシアム(A3MD)」と呼ばれる新しいアライアンスもあり、そのメンバーにはLG、Totalのほか、主要大学も含まれています。
 
InoBat Autoは、Wildcat Discovery TechnologiesによるAIとハイスループット実験を組み合わせたプロセスを使用してバッテリー開発を行っている企業です。2020年に、同社は研究開発拠点の買収と、同社のプロセスをベースにした新しい電池化学を発表しました。
 
見てきたとおり、2020年は、先進材料の開発、採用、拡大が引き続き活発に行われた1年でした。IDTechExの調査は、多数の先進材料と主要な技術全体をカバーしています。ご興味のある方は IDTechExのHP でご確認ください。
 
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