6Gは通信業界に何をもたらすのか?
2025年10月22日
Mika Takahashi
6Gは2030年頃に商用化される見込み
1880年4月1日、アレクサンダー・グラハム・ベルが光線を使って初めて電話メッセージを送信して以来、無線通信は大きく進化してきました。その後150年の間に、ラジオ、テレビ、携帯電話、インターネットなど、数々の革新的な技術が登場しました。
通信業界は常に進化を続けており、IDTechExの新しい調査レポート「6G市場 2026-2036年:技術、トレンド、予測、有力企業」では、次世代の無線通信技術である「6G」が標準化の段階に入りつつあると分析しています。では、6Gとは何なのか?なぜ必要なのか?そして、前世代の5Gが十分な成果を得られなかった中で、6Gはどのようにして状況を一変させるのでしょうか?

モバイル通信の進化。出典:IDTechEx
6Gとは何か?5Gとはどう違うのか?
通信業界では、およそ10年ごとに次世代の無線通信技術が採用されており、2020年頃に4Gから5Gに移行したことから、2030年頃には6Gの商用利用が開始すると見られています。6Gでは、新たな周波数帯を利用することで、理論値最大1Tbpsまでのデータ通信速度の向上を目指すとともに、低遅延も実現させようとしています。空気中における信号は、周波数が高くなるほど大きく減衰するため、伝送距離が制限され、見通し線についても考慮が必要となります。
そのため6Gでは、通信エリアの拡張を実現するために、先進的半導体を用いた新しい無線設計が求められています。高速化や新たな周波数帯のほか、革新的なアンテナ配置(分散MIMOなど)や技術(RIS:再構成可能なインテリジェントサーフェスなど)を利用することで、6G技術を通して都市環境全体の接続性が向上し、新たな用途が開拓されると期待されています。
6Gでは、従来の地上通信塔に頼るだけでなく、非地上系ネットワーク(衛星や成層圏プラットフォーム)との融合も進む見通しです。IDTechExの調査レポート「6G市場 2026-2036年:技術、トレンド、予測、有力企業」では、これらの技術革新やその他の動向について、詳細に取り上げています。
検討されている周波数帯
6Gで利用する周波数帯については、まだ最終決定がなされていませんが、業界ではいわゆるセンチメートル波(7~15GHz)にトラフィック需要の大部分を担わせる方向でまとまりつつあります。この帯域は帯域幅(したがって速度も)のバランスが良く、過度な信号減衰の制約を受けることもありません。高速用途向けにはミリ波(IDTechExの定義では24~100GHz)が検討されています。もっとも、ミリ波は5G向けに大々的に活用が推進されていたものの、現時点では5Gのサービス展開において商用利用がほとんど進んでおらず、一部ではサービス提供を中止したケースもあるほどです。こうした高帯域幅のサービスは、スタジアムや人の多い市街地など、密集度の高いエリアに限定されることになるとIDTechExは見ています。
ミリ波よりもさらに高いサブテラヘルツ帯(100~300GHz)は、驚異的なデータ転送速度と低遅延通信を実現する可能性がありますが、信号減衰が非常に大きくなるという代償を伴うため、サブテラヘルツの実用化には何らかの形のネットワークリピータやRISが必要になりそうです。周波数帯は限られたリソースであり、移動体通信事業者は無論のこと、軍やWi-Fi事業者など多くの利害関係者の間でその利用をめぐって争奪戦が繰り広げられています。6Gでは、無線通信用に新たな周波数帯が開放されるだけでなく、旧世代で使用されていた周波数帯がリファーミングされることにもなりそうです。
キラーアプリケーション探しは続く
一般的に世代が上がるごとに性能も向上し、新しい機能が登場します。1Gはアナログ音声通話のみでしたが、2GではSMSが導入されました。3Gではインターネットとビデオ通話が初めて導入され、その重要性からアップルは、3Gネットワークへの接続に対応した最初のiPhoneを「iPhone 3G」と名付けたほどです。
4Gは接続性をさらに進化させ、無線通信でブロードバンドレベルの速度を実現したことで、ストリーミングやブラウジング、ゲームなど、さまざまな機能が利用できるようになりました。一方で、5Gも従来と同様に新機能での飛躍的進化を掲げて推進されたものの、実際には期待されていた機能の多くが実現しませんでした。業界では現在、5Gにおける唯一の大きな成果は固定無線アクセス(FWA)であったと認めています。固定無線アクセスは、固定無線接続を介して特定の場所にWi-Fiサービスを提供するものであり、有用ではあるものの革新性には欠ける成果です。
6Gのエコシステム全体が、6Gで実現可能となり、新たなネットワーク構築に投じた費用に対してリターンが得られ、最終的に収益化につながる新たな用途を模索しています。
5Gで注目された用途の中で、デジタルツインや自動運転などが再度推進され始めています。他にも、ISAC(通信とセンシングの融合)などの新規性の高いユースケースの研究が進められています。これは、現在は情報伝達に利用されている高周波信号を、エリア内にある物体の位置測定や追跡に利用するというものです。
IDTechExの新しい調査レポート「6G市場 2026-2036年:技術、トレンド、予測、有力企業」では、通信関連や従来とは全く異なる6Gのユースケースを多岐にわたって取り上げており、その上で、データ通信速度やネットワークトラフィックが6Gの主な推進要因となる可能性は低いと判断しています。つまり、業界は収益化可能な新たな用途を見つける必要があるということです。
さらに詳しくはIDTechExの最新調査レポート「6G市場 2026-2036年:技術、トレンド、予測、有力企業」 でご確認ください。該当ページからサンプルページがダウンロードできます。IDTechExのその他レポートは、こちら でご覧いただけます。
About IDTechEx
IDTechExの調査レポートは、
・アイディーテックエックス株式会社 (IDTechEx日本法人) が販売しています。
・IDTechExからの直接販売により、お客様へ各種メリットを提供しています。
・ご希望の方に、サンプルページ 送付します。
・その他、調査レポートに関する、質問、購入に関する問い合わせは、
下記担当まで。見積書、請求書も発行します。
問合せ先
アイディーテックエックス株式会社
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル21階
担当:村越美和子 m.murakoshi@idtechex.com
電話 : 03-3216-7209
IDTechExは、調査、コンサルタント、サブスクリプションを通して、戦略的なビジネス上の意思決定をサポートし、先進技術からの収益を支援しています。IDTechExの調査およびコンサルティングの詳細については、IDTechExの日本法人、アイディーテックエックス株式会社まで、お問い合わせください。