エアロゲル市場の3つの成長要因

Dr Richard Collins
エアロゲル市場は、今後10年以内に7億ドルを超えると予測されています。この数字は、1世紀近く前から知られているユニークな材料群にしては控えめに見えるかもしれませんが、長期の低迷と幾度かの市場のつまずきを考慮すれば、この数字は2020年のマーケットの状況からは大幅な成長を意味します。
 
IDTechExでは、2021年のエアロゲル市場は3億ドル以下になると予想しており、市場の95%以上はシリカ製品が占めています。オンライン上にはこの市場をかなり大きく捉えた数字が数多く見受けられますが、業界大手のAspen Aerogelsの収益が過去6年間で1億~1億4000万ドルの範囲にあったことを考えると、これより大きな数字は非現実的であると思われます。ところが、同社のようなマーケットリーダー的な企業の業績が比較的低調であったのにもかかわらず、10年間にわたって成長が続くことが見込まれています。もちろん、新型コロナウイルスのパンデミックにより、エアロゲルの生産、サプライチェーン、市場は一時的に影響を受けています。このため遅れが生じたり中止された計画がありますが、全体的な見通しはポジティブなままです。本記事ではこの成長を牽引するドライバーを見ていきたいと思います。
 
IDTechExは長年にわたりエアロジェル業界を調査しており、最近、最新の調査レポート『エアロゲル 2021-2031年: 技術、市場および有力企業』を発行しました。本レポートはベンチマーク調査、ケーススタディ、市場予測を含む、最も包括的な市場概要を提供しています。メーカーの生産能力、収益、製品、生産プロセス、拡張計画などを含む詳細なメーカー分析も提供しています。

1. 世界でのシリカブランケットの生産能力拡大

過去10年間で、シリカエアロゲルの生産設備能力に大きな変化がありました。これまで生産設備は主に北米と欧州にありましたが、中国において著しい増加が見られ、Nano Tech、Alison Aerogel、IBIHなどの企業が、相当な生産能力を確立しています。これらの企業の一部は、特許権侵害訴訟の結果などにより逆風を受けていますが、シリカエアロゲルの利用の拡大に伴って入手がしやすくなり、競争も高まることで、市場開放が一層進み、成長が促進されるでしょう。

2. 用途の多様化と規制の改正

シリカエアロゲルにとっての最大のエンドユーザー市場は石油・ガス業界であり、これらの業界に採用されたことが、21世紀に入るまでは見られなかったような商業的成長を可能にしています。この分野にはまだ多くの機会が存在しており、その中でも注目すべきなのがLNG関連用途ですが、業界はここから脱却して多角化を図る必要があります。再生不可能エネルギーに対する長期的な懸念があるだけでなく、一つのセクターに大きく依存する川下製品はマクロ経済の動向に影響を受ける可能性があります。
エアロゲル市場分析
 
IDTechExの分析では、シリカエアロゲル製品は今後10年間で多様化すると予想しています。 都市工学、包装、アパレル、電子機器には小規模な成長の機会が多く存在していますが、最も大きな成長を遂げているのは、建築・建設と電気自動車用バッテリーパックです。どちらのセクターも規制の改正によって大きな影響を受けます。
 
エアロゲルメーカーは、長年にわたり建築・建設市場への販売の拡大を試みてきました。その際の課題はエアロゲルブランケットが高額であり、非常に低コストの代替品と競合することです。成功は規制の改正(エネルギー効率の高い建物や火災安全の要件の強化など)によってもたらされるでしょう。例えばロンドンのグレンフェルタワーの火災は、使用されていた断熱外装材が原因であったことから、規制が大きく改正されつつあります。難燃性等級A2を誇るエアロゲルブランケットは、軽量性や設置の容易性、通気性、疎水性、そしてその比類なき断熱性が合わされば、市場への浸透が見られ始めるでしょう。
 
電気自動車の市場は活況を呈しており(IDTechEx社の予測では、2041年には2.3兆ドルに達する)その中心となるのがリチウムイオン電池 の役割です。 市場には様々なデザインのバッテリーがあり、セル単位やパック単位などいずれの形態にも集約されてはいません。ここでも、主な考慮事項は熱管理です。IDTechExでは、本トピックに関するを特集レポート出しており、その中でパックの設計、冷却方法、サーマルインターフェースマテリアルなどに関して詳細に説明しています。シリカエアロゲルブランケットは、熱暴走を抑えるソリューションとしてこの新興市場で採用され始めたばかりです。CATLなどの主要な中国企業は、エアロゲルブランケットを使用していることが知られています。また、2020年後半にはAspen Aerogelsが米国の某大手自動車メーカーと初めて契約を締結したと発表しました。エアロゲルは他の多くのソリューションと競合しますが、非常に大きな可能性を秘めているため、わずかな市場シェアでも非常に大きなものになる可能性があります。

3. 新しい製造工程と各種エアロゲル

この分野の学界や産業界では、一定数の研究が継続的に行われています。IDTechExの市場レポートには、特許の主な譲受人がどのように変化し、どのようにして(製造活動と同様に)中国に移行したかを示す包括的な特許分析を収録しています。興味深いことに、デュポンとGEは、エアロゲルに関する特許の保有総数が最も多いものの、その大部分が非アクティブになっています。取得済みのものや審査待ちのものだけを見てみると、台湾積体電路製造 (TSMC)がトップを占めています。多くの研究開発部門が投資の拡大や製品の市場投入の可否の判断を行うにあたって、特許はその材料の一部でしかないものの、長年にわたる過去のつまずきの歴史が不安として残っています。
 
学界、研究開発部門、スピンアウト企業は通常、既存製品の製造工程の変更を検討する領域と、新しいエアロゲル材料の市場投入を検討する領域という2つの領域で活動しています。前者は、常圧乾燥法か、廃棄物や「グリーン」原料の使用のいずれかに主な焦点を当てています。
 
新種のエアロゲルについては、ポリマーのパネルとフィルムが、商業活動の急速な立ち上がりを見せるであろうとIDTechExでは見ています。シリカモノリスは、写真などで最も目にすることが多いものの、その脆弱性ゆえに商業的な用途はほとんどありません。ポリマーの変種は機械的特性がそれぞれ大きく異なるため、業界を多くの新たな方向に導いています。有望企業の多くは相当な生産能力を確立しており、各セクターの大手のエンドユーザーが、その生産能力を、5Gアンテナや航空宇宙用内装などに使用できないか大きな関心を寄せています。カーボンエアロゲルはもっと前から知られていますが、市場の動きと技術開発(グラフェンエアロゲルなど)が再び活発化しており、エネルギー貯蔵用途においていくつかの非常に有望な結果を出しています。これら最先端の製造工程は進歩し続けており、新しいエアロゲルが今後10年間に市場に登場し、予測されている成長の一翼を担うことになるでしょう。
 
さらに詳しく、IDTechEx調査レポート『エアロゲル 2021-2031年: 技術、市場および有力企業』で、ご確認ください。
 
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