5G: GaNに必要な市場

5G: GaNに必要な市場

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5Gはすでに到来し、実現されたものと思われても仕方がないでしょう。しかし、これまでの5Gの展開の多くは高い周波数をフルに活用するのではなく、既存の4Gに近い低い周波数帯で行われてきました。5Gの現状を見ると当初予想されていたほど技術革新は進んでおらず、高周波、ギガビット級のダウンロード速度、ミリ秒の遅延などは実現したと言えるほどのものではありません。ただ、技術的発展の余地がまだあることは確かであり、それ故にいくつかの技術や材料の機会も見込めます。その中でも重要なのが、ワイドバンドギャップ半導体を用いる半導体技術です。IDTechExの最新調査レポート『5G の熱管理 2022-2032年』では、GaN(窒化ガリウム)が5G市場で大きな機会を持ち、ダイアタッチ材料などの他の部品にダウンストリーム効果を生み出すと見ています。
 
LDMOS(横方向拡散金属酸化物半導体)デバイスは、4G時代まではパワーアンプに最適な技術でした。これらのパワーアンプは信号を増幅して伝送するという重要な役割を担っています。問題は4GHz付近を超えると、LDMOSの効率が落ち始めることです。効率はアンテナのエネルギー消費に直接影響するため、通信インフラにとって重要な要素となります。5Gインフラの多くが既存の機器を使用して展開されているため、電波塔のエネルギー消費量は劇的な増加へと向かっており、この将来起こり得る影響を抑える方法の一つが、GaNなどのワイドバンドギャップ半導体の導入です。GaN使用によって高周波帯において大幅な効率の向上が図れます。10%前後あるいはそれ以上の効率向上が見られたユースケースもあります。
 
GaNはファーウェイの機器とともに4Gネットワークに展開され始めましたが、価格の上昇や製造性(製造のしやすさ)の低下、他のコンポーネントへの組み込みの難しさなどから、世界的に見て現時点ではそれほど導入は進んでいません。しかしながら、GaNはスタートアップ企業が開発するようなニッチ技術では決してありません。たとえば、大手技術企業の住友電工はファーウェイなどの企業にGaNデバイスを含むRFコンポーネントを供給しています。5Gは特に高周波帯において成長を続けており、今後10年間でGaNデバイスの普及はかなり進むと予測しています。特にサブ6GHzインフラは高出力なことと、コンポーネントの組み込みがミリ波帯域ほど難しくはないことから、ハイエンド向けにGaNデバイスの普及が進むと見ています。IDTechExでは、今後10年以内にこの用途でのGaNデバイスの年間需要が4倍に増えると予測しています。
 
IDTechExが予測する5G用シリコンおよびワイドバンドギャップ半導体のダイサイズ。 Source: IDTechEx
ワイドバンドギャップ半導体を導入した場合、通常はデバイス接合部の温度が上昇してしまうため、熱管理面での考慮事項が増えることになります。熱サイクルにおいて重大な単一障害点となるのが、半導体デバイスの接続方法やダイアタッチ材料です。GaNデバイスの接合部温度は175℃を超えることが多く、この時点で一般的なはんだ材料では選択肢が限られてきます。特に多くの市場では鉛フリーはんだが必須となっているため、選択肢はさらに限られることになります。このことが多くの企業に焼結材料の検討を促しています。焼結では加熱すると緻密化するペースト(通常は銀)を塗布します。結果として、熱伝導率の向上により接続部の信頼性が高まります。焼結材料は、SiC(炭化ケイ素)や800Vプラットフォームへの移行のおかげで、電気自動車市場での大々的な導入がすでに始まっています。
 
高圧条件が必要などの短所がありましたが、使用材料に進歩が見られ、市場での導入も進み、GaNデバイス導入の動きがあったことにより、焼結技術は5G市場にも大きな影響を与える可能性があります。IDTechExでは、5Gインフラにおける焼結材料の需要が2030年までに10倍に増えると予測しています。また焼結材料としての銀よりも、コスト削減や性能向上を図れる可能性を持つ銅の開発への関心も高くなっています。とは言え、銀焼結技術が当初抱えていた、はんだと比較した場合の問題点を銅も同じように抱えています。
 
市販されているさまざまな銀焼結ペーストの作業条件のまとめ. Source: IDTechEx - 『5G の熱管理 2022-2032年』
 
IDTechExの最新レポート 『5G の熱管理 2022-2032年』では、サブ6GHz帯およびミリ波帯における半導体技術の選択肢だけでなく、それらに関連するダイやアタッチ材料を、どちらも10年間の市場予測とともに取り上げています。本レポートではまた、アンテナの設計と熱伝導材料の使用における進歩や、5Gスマートフォン向け熱材料の進歩についても考察しています。
 
IDTechExは、5Gの全般のプレイヤー、技術、機会、課題を取り上げる「5G技術、市場および見通し 2022-2032」「5G スモールセル 2021-2031年: 技術、市場、見通し」「5G 向け低誘電損失材料 2021-2031年」「5G の熱管理 2022-2032年」など、5Gの重要技術を詳細に取り上げた市場調査レポートを複数発行しています。
 
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