IDTechEx技術ハイライト2020: 電気自動車(EV)

IDTechEx技術ハイライト2020: 電気自動車(EV)

IDTechEx技術ハイライト2020: 電気自動車(EV)
COVID-19のパンデミックにより、自動車産業に100年に一度の変革をもたらす、2020年が極めて重要な年になることが予想されます。全体として2020年の世界の自動車販売はおよそ20%減少すると予想されていますが、プラグイン電気自動車(バッテリー式電気とプラグインのハイブリッド)は21%を超える成長が見込まれており、景気が後退局面にある中で電気自動車の回復力には目を見張るものがあります。この成長は主に欧州が牽引しており、今や世界最大のEV市場である中国に迫る勢いです。
 
Data sources: CAAM, EAFO, Argonne National Lab, IDTechEx
 
今年は、テスラの時価総額が跳ね上がり利益をもたらした一方で、自動車市場のそれ以外の分野に投資した投資家は動揺を隠せません。政府がガソリン車の廃止期限を前倒ししたことを受け、電気自動車の戦略を見誤った関係者の間では混乱が強まっています。「当面の時間稼ぎになるだろう」とハイブリッド車の短期的な機会に飛びつく人もいますが、排出量削減を求める政府や国民が強力な追い風となり、最終的にはバッテリー式電気自動車に軍配が上がることは明らかです。電気自動車市場に関するIDTechExの「マスターレポート」によると、プラグイン電気自動車の売上高は、2020年に550億米ドル、2030年に5,020億米ドル、2035年に1兆2,000億米ドルになる見込みです。
 
配車サービスが苦戦した今年は、ウーバーが自律走行車事業から撤退しました。これは自動運転技術への集中的な投資が必要とされていることを示唆するもので、その重要性は依然として高いままですが、政府や消費者が生み出す需要に対応するため電動技術の方が重視されています。IDTechExの技術市場分析は、陸上・海上・航空の各電動輸送機器を評価し、そのトピックに関する最も包括的な調査を世界中で実施しデータを提供するものです。本記事では、2021年を目前に控え、電気自動車がもたらす5つの大きなトレンドを概説します。
2021年に電気自動車がもたらす5つの大きなチャンス
電気自動車の販売を促進する米国の政策
 
次期大統領のバイデン氏は、重要なポリシードライバーの一つとして、緩和された米国の排出基準を見直す計画です。欧州で設けられている排出基準によって、自動車メーカーは電気自動車への投資と適合モデルの発売を余儀なくされています。IDTechExの調査によると、今年のプラグイン自動車市場は欧州が単独で78%の成長を遂げた一方、米国は7%の縮小、中国は横ばいになると予想されています。さらに、次期大統領のバイデン氏は、連邦税額控除を延長する計画です(業界大手のテスラとGMは2018年と2019年に控除の上限台数に達したため、市場が失速しています)。また、バイデン氏が公共の充電インフラに投資する方針を示している点も特筆すべきです。こうした一連の政策が意味するのは、数年におよぶ低迷期を経て米国で電動化が加速し始めるということであり、IDTechExの長期予測でも米国での販売が伸びると見込んでいます。
 
テスラに流れるフリーマネー
 
欧州では、電動化で後れを取る自動車メーカーに対して排出量に応じた罰金が科されており、結果としてテスラにフリーマネーが流れ込んでいます。走行1キロメートル当たりのCO2排出量を95gとする欧州の規制は、2021年に全面的に施行されます。これを達成できない自動車メーカーは、1キロメートル当たりのCO2排出量が1g超えるごとに95ユーロの罰金を科されるため、出遅れているメーカーの場合、その額は数十億ユーロに上る可能性があります。自動車メーカーは、クレジットの相互取引を行うことが認められており、過去にGMとFCAが数十億ドルのクレジットをテスラから購入したことがありますが、これは支払う罰金よりも低額になります。テスラは、研究開発費用の全額とはいかないまでも大部分をクレジット収入のみで賄うことができるかもしれません。
 
実現間近となった電動長距離トラック
 
テスラは、電気自動車の生産に注力しながらスケジュールどおりに生産を進めることが難しくなっていることから、電動トラックTesla Semiの発売予定を2021年に延期しました。また、水素燃料も頓挫しています。ニコラはNikola 2の生産を2023年まで先送りし、まずはバッテリー式電動モデルを発売すると発表しました(創業者トレバー・ミルトン氏の辞任劇の前の時点)。そのため、排出量ゼロの長距離トラックが実現するのは、これまでの予測よりも少し先になりそうです。しかし、同セグメントのソリューションとしてバッテリーの有効性を把握するという観点では、2021年は注目すべき年になりそうです。ダイムラーとボルボも、短距離走行用のバッテリー式電気自動車を皮切りに、燃料電池も次の課題として見据えながら、排出量ゼロのトラックの生産に今後取り組んでいくことを表明しています。IDTechExは電動トラック市場について、詳しい調査レポートを発行しています。
 
スマートフォンのように隙間に差し込めるバッテリー
 
2020年の発表内容は、バッテリー・モジュールの終わりが来る日は近いかもしれないと示唆するものでした。モジュールケーシングや他の不要なモジュール材料を取り除くだけで、自動車メーカーはバッテリー・モジュールを容易に取り外し、セル単位での改良を施すことなく「パックレベル」のエネルギー密度を向上させることができるようになる可能性があります。これは、垂直統合型のスタートアップ企業にとっては容易ですが、デザインが古く開発期間が長期にわたるため、実現できる自動車メーカーは限られてくるでしょう。
 
米国で登場する電動バン・小型商用車(LCV)
 
フォードは、2022年に生産が予定されている配送電動バンE-Transitを発表し、電動LCVで米国市場に参入する初の大手自動車メーカーとしての足場を固めています。IDTechExは、カリフォルニア州大気資源局のAdvanced Clean Trucks Regulation(先進クリーントラック規制)が追い風となることから、2021年には米国の他の自動車メーカーも後に続くと予測しています。フォードを取り巻く競争は、GMが2020年6月に完全電動バンBV1の開発を発表したことに端を発するという見方が優勢です。ダイムラーは同社のeSprinterの大型バッテリー版を(ただしメルセデスは、現行のEUのeSprinterは米国の安全要件を満たしていないとしています)、クライスラーはFiat E-DucatoのRAM版を、日産はe-NV200を、それぞれ米国で展開する可能性があります。EVのスタートアップ企業であるRivian(リビアン)も、2022年までに最大1万台の電動バンをアマゾン向けに納車する予定です。IDTechExは電気、ハイブリッドおよび燃料電池の小型商用車市場について、詳しい調査レポートを発行しています。
 
 
IDTechExは、これらの技術、市場、アプリケーションを分析してきた長い歴史に基づき、電気自動車のほとんどの側面をカバーする幅広い技術市場調査レポートを提供しています。
 
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