マテリアルズ・インフォマティクス: 今世紀の材料科学において一番手痛い見落としか?

Dr Richard Collins
材料科学業界は非常に競争の激しい業界です。車両の電化や自動運転の未来、地政学的問題や法規制の状況、市場シェアの獲得を狙って革新的な材料を提供する新たなプレイヤーの登場など、さまざまなセクターで大きな変化が起きています。将来の成功の鍵は研究開発活動を商用化すること、そして市場のニーズに迅速に対応し続けることにかかっています。この2つはマテリアルズ・インフォマティクス戦略の策定が必要不可欠である理由でもあります。
 
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、新材料の設計、特定用途向けの材料の発見、および材料の処理方法の最適化のためにデータ基盤を使用し、機械学習ソリューションを活用することを基礎に置いています。MIは「順」方向へのイノベーション(投入材料に対して特性を実現)を加速させる可能性がありますが、理想的なソリューションは「逆」方向(目的の特性を前提に材料を設計)を実現することです。
 
重要なことは特性の最適化、新材料の発見、サプライチェーンショックへの対応など、研究開発から市場投入までの時間を短縮することができるということです。
 
IDTechExは数年にわたりマテリアルズ・インフォマティクスについての記事を書いてきました。前回の記事では、近年の変化についてまとめました。さらに調査レポート「マテリアルズ・インフォマティクス 2022-2032」を発行しています。
 
まずこの分野はまだ初期段階にあり、その多くが依然として研究レベルにあることに注意しなくてはなりません。技術と用途は今なお急速に進化しており、成功事例は広がりつつあるものの、その真価が発揮されるのは何年も先になるでしょう。エキサイティングな進歩のほとんどは材料科学データの扱いに適したAIの開発やドメイン知識の統合で起きていますが、大半の企業にとっての現実は利用可能な形式のデータを体系的に取得することです。自動実験装置の改良や量子コンピューターの出現はこの革命をただ強化するものにすぎません。
 
より積極的に破壊的革新を先導するプレイヤーらは出遅れた者には遅すぎたことを気付かせ、機敏な追随者には先行者に追いつくためには相応の対価を支払わせることになるような大惨事が発生するだろうと確信しています。IDTechExは劇的なイベントが起こることはないと見ていますが、データ中心型の研究開発の未来を受け入れれば、今後数十年にわたりますます利益がもたらされるようになるでしょう。
 
このトレンドがもっと早く生まれなかった理由について、よく疑問があがります(ただし製薬業界では同等のアプローチが継続的に改良され、業界内で広く実践されています)。理由はいくつかありますがノウハウと比較するとIPに保持される価値が低いために材料科学が均質性の低い分野であること、乗り越えるべき懐疑論や躊躇が少なからず存在することなどがあげられます。
 
外部へのサービスを提供する企業の数は急速に増加しており、多くの著名な組織がこれらの企業やコンソーシアムと関わるだけでなく、独自の機能を社内に構築しています。IDTechExでは最も有望な用途は薄膜材料と液剤であると考えています。後者はポリマー、コーティング、潤滑剤、電解質の商業用途の大半を占めることは間違いありません。ただしこれら以外での成果や採用・導入が増えることはないと言っているわけではありません。金属合金、不均一触媒、超伝導体などにおいては、早い段階での成功がいくつかあります(画像を参照)。材料類を検討するだけでなく、バンドギャップのスクリーニング、相図のマッピング、演算負荷の軽減など、成功したケースでの問題に目を向けることも有益となる可能性があります。 調査レポート「マテリアルズ・インフォマティクス 2022-2032」 はインタビューベースの企業プロファイルや数多くのケーススタディを掲載しています。
 
成熟度別に見る対象用途  Source: IDTechEx - 「マテリアルズ・インフォマティクス 2022-2032」
 
リスクは結果への幻滅やフラストレーションとなります。これまでのケーススタディの多くは優れた事例だけを選び出したものであるため、現実世界のあらゆる変動要素に適しているわけではありません。そのため材料メーカーや化学メーカーが適切なプロジェクトを選択し、社内で小さな成功を実証することが重要となります。
 
IDTechExではデータサイエンティストだけではなく、多くの専門分野にわたる多様なチームを必要とする機能を社内に持つことが、あらゆる材料・化学メーカーにとっての最終目標であると考えています。最良のアプローチは収集可能なデジタルデータを大量に生成(これは最適化や研究開発の初期段階かもしれません)すると同時に、多面的な問題を扱う実際の社内プロジェクトに取り組むことです。企業は社外のプロバイダーの活用(講習、研究プロジェクト、プラットフォームの使用など)によってこの取り組みを後押しできますが、長期的に見れば社内にツールとノウハウを構築することが不可欠です。これは長い道のりですがすべての化学・材料メーカーが歩む必要のある道のりなのです。
 
さらに詳しくは、IDTechEx調査レポート 調査レポート「マテリアルズ・インフォマティクス 2022-2032」 でご確認ください。
 
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