さまざま車両分野の電動化: 兆ドル市場

Dr James Edmondson
自動車分野は急速に電動化が進んでおり、2023年上半期の電気自動車販売台数は中国、欧州、米国で合計580万台を超えています。自動車の電動化が世間の注目を集める一方、他の分野にも大きなビジネスチャンスがあり、IDTechExは2044年には陸上・海上・航空のEV世界市場規模が1兆米ドルを超えると予測しています(自動車を除く)。
 
IDTechExの調査レポート『EV: 電気自動車、船舶、航空機 2024-2044年』は、自動車、バス、バン、トラック、二輪車、三輪車、マイクロカー、ボート&船舶、建設、列車、エアタクシー(eVTOL)を含む電気自動車市場の販売台数、バッテリー需要、市場価値について、過去の実績ときめ細かな予測を提供しています。
 
All categories outside of cars are also rapidly electrifying. Source: IDTechEx
 
商用車 (バン、トラック、バス)
 
商用車は自動車に比べて導入台数は少ないものの電動化が進んでおり、世界的な排出削減の重要な段階にあります。これらの市場の電動化は初期段階ですが大きく進展しています。
 
電気バスの初期市場は中国に登場しました。IDTechExは、中国の電気バス市場は飽和状態にあるため、世界販売台数が2016年のピーク水準を超えるのは2040年以降と予測しています。今後の成長は、中国での乗り換えや欧州での普及拡大が後押しすることになるでしょう。欧州市場の大部分は中国メーカーによって支えられてきましたが、ここにきて現地調達が増え始めています。
 
小型商用車(LCV)フリートの電動化は、環境に配慮していることを顧客に示す効果的な方法であるだけでなく、運送業者(フリートオペレーター)にとっては総所有コスト(TCO)の大幅な削減になることも分かってきており、アマゾンやUPSなどの事業者で大規模導入が進んでいます。欧州の平均的バンメーカーでは、その新車登録台数の8%が電動LCVとなっています。
 
テスラ、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボは、いずれもバッテリー式EVトラックに対して多額の投資を行っています。少数派にはなりますが、トヨタとヒョンデは、将来のパワートレインとして燃料電池トラックに注力することを選択しています。燃料としての水素に効率とコストに関する問題があるものの、FCEVは、低コストのグリーン水素を必要とする長距離トラック輸送用途向けの技術として今なお話題に上っています。
 
ディーゼル車とガソリン車の2030年までの段階的廃止を進めている都市や国が増加し、求められている日常の稼働率を実現する技術について、その費用対効果や実現可能性が実証されつつあります。EVトラックの2022年の販売は、2021年の2.2倍となっています。この飛躍的な成長からも分かるように、トラックフリートの電動化は急速に進むことになりそうです。
 
マイクロEV (二輪車、三輪車、マイクロカー)
 
中国、インド、その他いくつかのアジア地域では、二輪車や三輪車が個人移動の主流です。これらの電動化においては、一般的に鉛蓄電池が主流となってきました。必要とされる、バッテリーサイズが小さく、モーター出力も低いため、鉛蓄電池を使用すれば、比較的低コストで電動化を実現することが可能です。
 
電気マイクロカーは、必要な航続距離が短く、フルサイズの自動車よりも混雑した都市を容易に横断できることから、中国で特に人気がある新しい交通手段であることが証明されています。
 
マイクロEVセグメントは現在、台数ベースで圧倒的な強さを誇っており、長期的にも大きな市場であり続けるでしょう。しかし、そのバッテリー需要は長期的にはバッテリー需要がはるかに大きい急成長中の電気自動車市場の影に隠れてしまうでしょう。
 
電気&ハイブリッド船舶
 
新型コロナ以来、電気ボート市場は3倍に拡大しました。オフィスから離れる時間が増えたことで、レジャーボートへの関心と自由な時間が増えたからです。 一般的に低出力船外機カテゴリーは、同等のガソリン船外機と比較して価格が2倍になりますが、TCOの観点に加えて、静か、クリーンなどのその他の利点も併せて見るとビジネスケースは強力です。とはいえ、高出力の船外機や船内機のカテゴリーにおいては、バッテリー価格の高さが依然として障壁となっています。自動車市場とは異なり、この業界には政府の政策による推進がなく、この状況は、ここ10年ほとんど変わっていません。
 
2016年以降、業界がそれほど価格に敏感でなくなっていることや、船舶用バッテリーの価格が半値になったこともあり、大型の商業用電動船舶やハイブリッド船舶の市場は指数関数的軌道を辿るようになりました。OSV(オフショア支援船)などの近海船において、ピーク負荷時に電力を供給するバッテリーが登場し、大型エンジンの小型化を後押ししました。フェリーは、オポチュニティ・チャージングが可能で、近距離かつ一定の航路を運航するため、実現しやすい最も一般的な電動船舶となっています。IDTechExのレポートでは、電動レジャーボート、近海商船、遠洋商船に関する予測を提供しています。
 
建設機械の電動化
 
気候変動に対するより広範な取り組みが、ノルウェーやオランダのような一部の国やボルボのような企業が建設機械の電動化に関する独自の目標を設定することに拍車をかけています。ディーゼル微粒子の排気ガスが建設労働者の健康や騒音に与える影響など、健康と安全への懸念も同様に重要な推進力となるでしょう。初期の車両開発の大部分が後付けによるもので、必要な開発段階ではあるものの、長期的に見ると持続可能な戦略ではありません。メーカーがスケールメリットによるコストダウンを実現するには、大型EVをゼロから設計し、それなりの量を生産する必要があるのです。IDTechExの調査レポートでは、電動建設車両が2044年までに約1540億ドル規模の市場となり、その市場が固体価値の高い少量の車両で構成されたものになると予測しています。また、この20年間の建設機械市場の主要部門はミニショベル、掘削機、ホイールローダーですが、電動化の開発については、当初は稼働時間が比較的短く、エネルギー消費の少ない小型機械(ミニショベル・小型ホイールローダー)を中心に進められると本レポートは解説しています。
 
電動エアタクシー/電動垂直離着陸(eVTOL)
 
eVTOLが商業化されるまでのスケジュールは、各地域の市場における最終的な認証プロセスによって大きく左右されます。開発途上のプロジェクトであるため、スケジュールについてはある程度懐疑的に扱うべきですが、多くの企業が、5年を見込んでいる認可プロセスを2~3年で進めていると発表しています。しかし、認可基準はまだ完全には整備されていません。多くの企業では、量産型eVTOLを発売できるようになるまでに、技術面・資金面の問題への対応が必要になるでしょう。IDTechExのレポートでは、各プレイヤーの商業化予定時期や2044年までの市場予測について取り上げています。
 
見通し
 
電動化は上記の各カテゴリーで様々な段階にあるものの、各分野で成長しています。二輪車、三輪車、バン、マイクロカー、トラック、船舶、建設、バス、エアタクシー、鉄道の市場を組み合わせたIDTechExの調査レポート『EV: 電気自動車、船舶、航空機 2024-2044年』は、2044年の市場規模を1兆米ドル強と予測しています。
 
グローバルなEV動向については、ぜひ、IDTechExの調査レポート『EV: 電気自動車、船舶、航空機 2024-2044年』でご確認ください。
 
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